米アマゾン本社内のホームレス・シェルター、まもなくオープン 物価の急上昇と共に増え続けるホームレス。そのことが大きな社会問題になっているシアトルに本社があるアマゾンドットコム社が、同本社内にホームレスの人たちが使用できる宿泊施設をつくり、3月末までにはオープンする予定だ。

ダウンタウンのど真ん中 本社ビル内にシェルターを作って支援

米アマゾンドットコムの本社がワシントン州シアトルのダウンタウンにキャンパスを移して早10年。2007年から2017年の間にシアトル市内の不動産の平均賃料は約42%も上昇し(全国平均は18%)、それに伴いホームレスの数が増えた。2014年以降はホームレスの数は毎年9%の上昇が続いている。

そんな中、シアトルのダウンタウンに大きな面積を占めるキャンパスを持つ米アマゾンドットコム社が、コミュニティーを支援するために本社内に最大275人が宿泊できるホームレス・シェルターを開設しようと準備をすすめている。

シェルターの運営は長年における地域のホームレス支援で知られる非営利団体「マリーズ・プレイス」だが、アマゾンが施設を建設し、そこを10年間無料で同団体に貸し出す仕組みだ。ベッドやシャワーはもちろん、年間60万食を提供できる業務用キッチンもあり、これが開設されれば同州最大規模のホームレス・シェルターとなる。来たる3月末までにはオープンするようだ。

社員がボランティアをしやすい仕組み

同社本社はダウンタウンにあるため、シェルターの支援を必要としている人たちも、ボランティアをする人たちもアクセスしやすい。

施設内のコミュニティー・スペースでは、アマゾンの従業員が無料でホームレスの人たちにコーディング技術を教えるクラスなども開設されるという。運営を担う非営利団体のマーティ・ハートマン代表は、「大勢のアマゾンの従業員たちにボランティアに参加して欲しい。野菜を切ったり、赤ちゃんをあやしたり、誕生会を企画したり、なんでも大歓迎。ここがコミュニティー・センターのような場所になることを望んでいる。ホームレス問題を他人事にしないためには、なによりもコミュニケーションをとることが第一歩」と話している。

SDGsが重要視される中、企業のコミュニティ還元活動をリードするような同社の試みが、今後、地域にどう根付いていくのかが注目される。

2020年1月29日

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