ハウステンボス「赤字確実」 新型コロナ影響 9月期通期決算 坂口社長 単独インタビュー

「九州からの来場者を増やしたい」と語る坂口社長=佐世保市、ハウステンボス

 ハウステンボス(HTB、佐世保市)の坂口克彦社長は9日、本紙の単独インタビューに応じた。2020年9月期の通期決算について、新型コロナウイルス感染拡大の影響で「赤字が確実になる」との見方を示した。
 旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)会長兼社長の澤田秀雄氏が2010年3月にHTB社長に就任。HIS傘下となった。11年9月期で通期決算としては1992年の開業以来初めて黒字化を果たして以降、毎年黒字を確保してきた。通期での赤字転落はHIS傘下となって初めて。
 今期は新型コロナの影響で2月29日~3月15日と4月6日~5月15日の2度にわたり臨時休業。5月16日に県内在住者限定で一部施設の営業を再開した。6月19日からは営業エリアを拡大して県外客も受け入れる予定だが、客足が戻るかは不透明だ。
 坂口社長は、当面はインバウンド(訪日外国人客)の回復は見込めないとして「九州内からの来場者増加を目指す」と強調。これまで県内の来場者数は全体の約15%、九州は約50%。東京ディズニーランド(千葉県浦安市)などほかのテーマパークに比べ、近隣地域からの来場者が少ないのが課題となっていた。
 坂口社長によると、HTBに過去来場したことがある人は九州で約75%、県内では約90%に上る。一方、うち半数以上はこの10年間で一度も訪れていないという。リピーターの確保に向け「イルミネーションや歌劇団など、10年間で大きく変化した今のHTBを知らない人が多い。情報発信の方法を工夫し、年間パスポート会員を増やしたい」と述べた。
 5月21日で就任から丸1年。澤田氏の「カリスマ経営」から、現場の知恵を生かす「組織経営」への変革を掲げ、「社員から知恵が出てくるようになった」と手応えを感じている。「ピンチの今こそ真価が問われる。どうやってチャンスにするかを考えていきたい」と前向きに語った。

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