WTCR:本格eシリーズを追加開催。リアルドライバーのみエントリーの全6戦を予定

 WTCR世界ツーリングカー・カップのプロモーターであるユーロスポーツ・イベントは、シリーズ開幕が延期されている現状に対し新たなeスポーツ・シリーズの開催をアナウンス。7月14日から7週間にわたってEurosport TVでの中継を前提とした全6戦の『Pre-season Esports WTCR Championship』開催概要を発表した。

 新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の影響で、長らくシーズン開催を見送っているWTCRは、ここまで全4戦のSimレースイベントを開催してきた。

 このシリーズでは現実のWTCRレギュラードライバーに混じって、WTCRのeシリーズなどで実績を重ねてきたプロゲーマーらも参戦し、リアル勢を脅かす活躍を演じたが、新たに開催される『Pre-season Esports WTCR Championship』では、実際のWTCRドライバーのみが参加対象とされる。

 その新eスポーツ・シリーズ開催に際して、ユーロスポーツ・イベント代表を務めるフラソワ・リベイロは次のように狙いを説明する。

「我々の使命として、真に強力でグローバルな可視性を備えた独自の放送用プロダクションに方向を変えることにより、純粋なオンライン・レーシング・コンテンツを提供するという新しく刺激的な一歩を踏み出すことになった」と、ステートメントの冒頭で挨拶したリベイロ。

「スポーツブロードキャストにおける社内のリソースを活用し、番組の制作、世界中の放送局への配信、WTCRのために実施しているすべてを反映したプロモーション・キャンペーンの立ち上げによって、ここまで効果的にバリューチェーンを管理してきた」

「我々としてもドライバーやチーム、パートナー、その他の関係者とともに、これら前例のない時期に多くを逃したファンたちのために、大いなる影響力を持つビジュアルを通じて素晴らしいアクションとエンターテインメントを提供するつもりだ」

シリーズ復帰を発表したZengő Motorsportや体制未発表のPWR Racingは、新型Cupra León Competición TCRの走行イメージが公開された

 この新生eシリーズには合計17名のドライバーが参戦予定で、現WTCRチャンピオンの元Simレーサー、ノルベルト・ミケリスや、事前のeシリーズ最終戦で仮想空間初勝利を飾ったエステバン・グエリエリ、ヤン・エルラシェールにイバン・ミューラーのファミリーもすでに参加を表明している。

 レースは1戦あたり1時間のコンテンツとして54カ国で放映され、その後はWTCRの公式ソーシャルメディアでストリーミング放映を予定する。レースフォーマットは10分間の予選後にトップ5シュートアウトが実施され、その成績によって12分間のレース1を開催。続くレース2も前戦結果トップ10のリバースグリッドから12分間のレースが催される。

 バーチャル・グリッドのマシンたちは、レギュラードライバーたちのドライブする車種ごとで2020年仕様に基づいたカラーリングが施され、17人のドライバー全員にウェブカメラとマイクが接続され、放送中にはインタビューやライバルとの対話も織り込まれる。

 今季もBRC Hyundai N LUKOIL Racing Teamから参戦するミケリスも「ドライビングの感覚を維持し、準備を整えるための良きツールになる」と、さらなるeスポーツ・イベント開催を支持した。

「もちろん、僕の出自を考えれば当然のことだよね。ここまでの4戦で良く理解できたけど、オンラインのすべてのレーサーたちは、実際のドライバーと非常によく似た決断をしていた。バーチャルトラックを何kmも走り込めば、実際に成功する方法を理解するのに役立つという何よりの証だね」

ディフェンディングチャンピオンであるノルベルト・ミケリスも、新チームメイトのルカ・エングストラーとともに参戦予定だ

■2020年『Pre-season Esports WTCR Championship』カレンダー

Round Date Circuit

1 7月14日 ザルツブルクリンク

2 7月21日 ハンガロリンク

3 7月28日 スロバキアリンク

4 8月5日 寧波インターナショナル・スピードパーク

5 8月12日 マカオ・ギア・サーキット

6 8月19日 セパン・インターナショナル・サーキット

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