まるで短いドラマのよう。テレビCMで魅せる亀梨和也の演技力

毎年発表されるTVCM放送回数ランキング。その20位以内にはランクインしないものの、テレビCMが印象に残り、好感度や効果などが評価されているタレントの一人が、KAT-TUNの亀梨和也だ。

■CMキャラクターに起用された新サクセスが絶好調

花王の男性向け薬用シャンプー「サクセス」は、2020年2月29日、20代、30代男性をターゲットに「男のスタンバイを、科学する」をスローガンに商品のフルモデルチェンジを行った。

3月よりCMキャラクターに亀梨和也を起用し、「スタンバイ探偵シャンプー篇、トニック篇」の全国放送を開始。CMでの亀梨の役は、髪や頭皮の変化が気になるターゲット世代のビジネスマン役。その爽快な洗い心地を表現する亀梨の表現力が撮影現場でも評価されたという。

発売2週間で、過去最高の累計出荷数を記録。身だしなみ、頭皮への関心の高まりもさることながら、「Going!Sports&News(日テレ)」のレギュラーとして、スポーツマンシップが認知され男性からの好感度が高いことと、亀梨の女性ファンが夫や家族用にと積極的に購入したことも大きいとみられる。亀梨の清潔感、さわやかさがシャキッとするシャンプー、トニックなどと相性が良く「新しい」「一発洗浄」「スタンバイ不足」「髪活」といったコピーも刺さる。

今は夏バージョンの新シャンプースタンバイ篇がオンエア中。ただシャンプーしているだけ、トニックをシュッとしてマッサージをするCMだが、目を閉じて手際よく髪を洗う様子が気持ちよさそうで、なぜか髪を洗いたくなるから不思議だ。

CMでは、出演するタレントの印象が勝ってはいけない、商品の印象や名前が記憶に残り、「使ってみたくなる」「食べてみたくなる」といったリアクションを起こさせるかどうかが大切だ。

亀梨で言えば、2019年2月に放映された、放送地域限定のCMで「雪国まいたけ極(きわみ)」も印象的だ。雪国まいたけ極をもぎ取り、七厘で焼いて口に入れて噛みしめる時の表情が生き生きとして、まさに「食べてみたくなる」CMだった。

■俳優ならではの演技力が光った「保険見直し本舗」CM

亀梨を起用した保険見直し本舗のテレビCMが「2019 59th ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」で入選した。「ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」は、1961年にテレビ、ラジオCMの質的向上を目的に設立された「ACC CM FESTIVAL」を前身とし、2017年より、対象をあらゆる領域におけるクリエイティブに広げた国内最大級の広告賞として認知されている。

「2019 59th ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」の応募作品総数2,456点(6部門合計)の中から厳正な審査により、フィルム部門Aカテゴリー(テレビCM)において「インタビュー」篇がのACCブロンズを受賞、「舞台2(前転)改訂」がACCファイナリストとして選ばれた。

保険見直し本舗は「保険選びをもっと自由に」を理念に、その人の状況に合うふさわしい保険プランを提案するショップで、2016年10月に亀梨をイメージキャラクターとして起用(2019年10月まで)。学ラン姿の「同窓会」篇、白衣をまとった博士役の「絶滅危惧種」篇、「ギョーザパーティ」篇では、「みなおす」のダジャレのオチで亀梨がコミカルな演技を披露してきた。

「インタビュー」篇は、亀梨が劇場でインタビューに答えるなかで「保険見直しほんぽ~~~~~~」と、表情を変えずに息継ぎをせずに声を伸ばす意表をついたもの。「舞台2(前転)改訂」篇は、舞台で「ポゥ」と叫びながら真剣にコンテンポラリーダンスを披露する役を演じた。笑わせようとするわけでもなく、真剣に自然体でいながらくすっと笑える、ユニークでインパクトがあるCMだ。

いずれも短い時間でさまざまなシチュエーション、役柄で、コミカルに、迫力満点に演じ「小さなドラマ」を繰り広げる、亀梨の集中力、演技力が光る。

保険見直し本舗のテレビCMは「BRAND OF THE YEAR 2017(CM総合研究所主催」において、視聴者からの高い好感度を評価され、『消費者を動かしたCM展開』にも選出されている。

現在はファイナンシャルプランナー相談サービス「マネードクター」の新CMに、KAT-TUNが出演。「「AI」篇、「歌詞」篇、「いつでもどこでも」篇がオンエア中だ。

〈ライター/佐藤ジェニー〉

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