景気「厳しい状況続く」 5~6月 判断据え置き 日銀長崎支店

 日銀長崎支店が10日発表した5~6月の県内金融経済概況は、景気の総括判断を、新型コロナウイルス感染拡大の影響から「厳しい状況が続いている」とした。観光が引き続き低迷、個人消費の大幅な減少も響いた。先月14日の緊急事態宣言解除後、人の動きは徐々に戻ってきているとしながらも、3カ月連続で引き下げていた判断は据え置いた。雇用・所得は「弱い動きとなっている」と、3カ月連続で下げた。
 下田尚人支店長は記者会見で「宿泊支援や特別定額給付金で、人の動きや経済活動が持ち直していくことが期待される」とする一方、「再び感染が拡大するリスクなど不透明な要素がある。ペースはゆっくりとしたものにならざるをえない」と述べた。
 観光は「低迷している」とし先月と同じ。4月の県内主要ホテル・旅館の宿泊者数と、閉鎖が続いた主要観光施設入場者数はそれぞれ前年比9割前後減少。5月もその傾向は続いた。6月に入って営業再開の動きが出て「少しずつ戻ってきた」という声は聞かれたものの、まだ低調と判断した。
 個人消費も「大幅に減少している」で変わらず。特に5月の乗用車新車登録台数が前年比5割減となり、4月から下げ幅は拡大。巣ごもり消費向けの酒やDIY用品などを扱うドラッグストアやホームセンターが伸びている中、外食は、客足が徐々に戻ってはいるものの大幅減が続いている。
 雇用・所得は、有効求人倍率が1倍以上を維持している一方、コロナ禍での売り上げ減少を受け、4月の新規求人は前年比3割減。飲食・宿泊などで求人を控える動きが出ている。所得は残業代が減り、賞与がどうなるかも不透明。下田支店長は、個人消費が順調に回復するには、所得の動向が重要になるとの考えを示した。

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