2021年のF1参戦を目指していた新チーム候補が計画を延期。技術規則の改訂に合わせる方針

 2021年よりF1に参戦することを目標としていた新チーム候補が、計画を1年遅らせ、2022年からの参戦を目指しているという。

 新たなF1チームについては、昨年10月にモータースポーツのマネジメント企業であるモナコ・インクリース・マネジメント(MIM)と、スペインのレースチームであるカンポスとの関係が初めて報道されたことが手がかりとなった。

 MIMは当時、2021年にマシンをグリッドに並べるために全力で計画を進めると主張していたが、FIA会長のジャン・トッドは、いかなる新チーム候補からも“確かな”申し出を受けてはいないと否定した。

 しかしながら、その後も同社はCEOと創業者のサルバトーレ・ガンドルフォが2019年中にF1の経営陣と何度も話し合いを持ったと明かしており、新チームのエントリーの可能性は、2021年に導入される新しい技術規則とレギュレーション次第だと言われていた。

 昨年、MIMは声明のなかで「新たな予算制限と分配金の配分、そして新たな技術および競技レギュレーションがあり、小規模チームにとっては競争に参加できる素晴らしい機会となるだろう。最終的には、ふたたびFIA F1選手権はさらにおもしろく、バランスの取れたものになるだろう」と述べている。

 しかし、新型コロナウイルスのパンデミックによって2020年シーズンのスタートが遅れ、新規則の導入も2022年に延期された。MIMはそれに応じて同社の計画を1年延期するという。

 このプロジェクトに近い情報筋が『Motorsportweek.com』に語ったところによると、将来のエントリーは準備中であるが、MIMは世界情勢について“より明確な見通し”が得られるのを待っており、これ以上の動きを控えているということだ。

「プロジェクトは今も進められている」とガンドルフォは彼の広報担当のアルベルト・アントニーニを通して『Blick』に語った。

「しかし現在の状況により、次の段階の計画を立てることができないでいる」

 またアントニーニは、予算制限が有効になった場合について次のように述べた。

「1億ユーロ(約121億7900万円)の予算を作るには、さらに2000万ユーロ(約24億3600万円)程度の資金を調達しなければならないだろう。それくらいがビジネスとして現実的であり面白いものだ」

 最後にF1グリッドに加わった新チームは2016年のハースだ。それ以前の2010年に加わったのは、ロータス(後のケータハム)、ヴァージン(後のマルシャ/マノー)、HRTの3チームだが、そのすべてが経営に失敗してF1から姿を消した。

 新型コロナウイルス危機により、現在いくつかのチームが財政面の困難に直面している。マクラーレンはスポーツカー製造部門の多数の社員を解雇し、またウイリアムズはレーシングチームの売却を模索している。

 MIMは元F1ドライバーで、今週フォーミュラEのマヒンドラ・レーシングからの離脱をパスカル・ウェーレインとすでに強い結びつきがある。また、スペインの期待の新星であるアレックス・パロウも抱えている。パロウはFIA-F2および全日本スーパーフォーミュラ選手権を経て、テキサス・モーター・スピードウェイで開催されたインディカーに、デイル・コイン・レーシングからデビューを飾った。

マヒンドラ・レーシングからの離脱を発表したパスカル・ウェーレイン
アレックス・パロウ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・チームゴウ)

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