震災9年3ヵ月 教訓伝承へ語り部再開 気仙沼・階上地区

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慰霊碑の線香に火を付ける語り部部会のメンバー=11日午前11時ごろ、気仙沼市波路上杉ノ下

 東日本大震災で大きな被害があった宮城県気仙沼市波路上杉ノ下地区の語り部が、震災から9年3カ月となった11日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け休止していた活動を再開した。訪れる人は少なかったが、震災の記憶を伝え続けようと、語り部たちが再び動きだした。

 再開したのは、昨年7月から月命日に活動している階上地域まちづくり振興協議会の語り部部会。4、5月は新型コロナで開催を見合わせており、冬場の休止期間も含め約6カ月ぶりの実施となった。

 70代が中心の語り部への感染リスクを考慮し、活動再開を広く広報することは控えた。午前の部に訪れる人はなく、語り部たちは杉ノ下地区で犠牲になった93人の名が刻まれた慰霊碑に献花し、静かに手を合わせた。

 午後は企業の研修などで訪れた15人が、語り部の話に耳を傾けた。

 休止中は、約20人の語り部が各自で話し方を研究したり、資料を読み地震や津波のメカニズムを学んだりして再開後に備えてきた。

 近藤公人会長(72)は「震災を教訓にした命を守るすべを、早く伝えなくてはという思いだった。屋外で密を避けられる環境なので、多くの人に訪れてほしい」と話した。