西武・森、打率5分の“超不振”脱するのろしの3安打 のしかかる正捕手、選手会長の重圧

楽天との練習試合に出場した西武・森友哉【写真:宮脇広久】

練習試合再開から前日まで6試合で20打数1安打、打率.050と極度のスランプに

昨季パ・リーグMVPと首位打者に輝き躍進を遂げた西武・森友哉捕手が、不振脱出の狼煙を上げた。11日にメットライフドームで行われた楽天との練習試合で5打数3安打。8日後の公式戦開幕へ向けて、ようやく視界が開けてきた。

「しっかりボールを引き付けて打てました。久しぶりに感覚も良かった」とうなずきつつ「ちょっと体が開いていたので、修正するために、右足を上げた時に少し内側に入れるようにしました」と説明した森。辻監督も「モヤモヤしていたと思うが、今日の3本でホッとしたのではないか」と目を細める。

練習試合が再開された今月2日から前日10日まで、6試合に出場し20打数1安打、打率.050。昨季打率.329、23本塁打、105打点をマークした男とは思えないほどの不振ぶりだった。

シーズンオフには下半身を中心に鍛え上げ、「今はあまり感じていませんが、スタミナがついたぶん、1度感覚をつかめば長いこと打てるんじゃないかと思います」と自信をうかがわせた一方で、3か月遅れの開幕を前に「こういった状況で開幕するのは初めてなので、やってみないとわからないというのが正直な気持ち」と不安も隠せない様子だ。チーム活動自粛期間中は、さぞストレスがたまっていたことだろう。

正捕手として、チーム防御率リーグワーストの投手陣のリードにも心を砕く

しかも、森に求められる仕事は打つことだけではない。24歳の若さで今季から選手会長に就任。髪を金に染め上げ先輩にタメ口をきくやんちゃなイメージが先行するが、「人前であいさつをするのが本当に苦手。あれだけでも(主将の)源田さん代わってくれへんかな」とため息をつく一面もある。

さらには正捕手として、チーム防御率が2年連続リーグワーストの投手陣を必死にリードする役目も。投手陣が被安打18、8失点と炎上したこの日の試合後も、岡田と柘植を含めた捕手3人と秋元バッテリーコーチで“反省会”に余念がなかった。自主練習期間が長引き投手陣の調整にも不安がつきまとうが、「自分が投げるわけでも、調整するわけでもないので、やってくれると信じるしかない」と腹をくくっている。

捕手で首位打者獲得はパ・リーグでは野村克也氏の南海時代に次いで2人目、両リーグを通じても4人目の快挙。今季のさまざまな試練を乗り越えた時、森は前人未踏の境地に達しているかもしれない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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