鹿児島国体の年内断念 長崎県内落胆「再考を」 少年勢思う声続々

 「この時期の判断は残念」「何とか開催を」-。鹿児島県の三反園訓知事が11日、今秋に予定されていた鹿児島国体の年内開催を断念する考えを示したことを受けて、長崎県内の関係者からは落胆と再考を求める声が上がった。
 長崎県スポーツ協会は、日本スポーツ協会や鹿児島県に対して「開催を心待ちにしている選手たちのために判断の先送りを」と要望してきた。荒木健治理事長は「コロナ禍で先が見通せないのは理解できるが、10月の国体開催断念をこの時期に判断されたことは非常に残念。長崎県スポーツ協会も開催を前提に柔軟かつ斬新に対応してほしいと働き掛けてきたが、力及ばず、国体に向けて尽力されている選手や競技団体関係者に申し訳ない」とコメントした。
 春と夏の全国大会が次々と中止になり、一部競技を除く高校生にとっては、秋の国体が最後の望みだった。このところ、夏の甲子園高校野球交流試合(仮称)の実施決定や、冬の全国高校サッカー選手権が開催の方向で検討されるなど、スポーツ界で前向きな動きが相次いでいただけに現場の落胆は大きい。
 ソフトボール勢は昨秋の茨城国体で成年男子と少年女子の2種別が優勝するなど全種別で活躍が続く。県ソフトボール協会の米倉博理事長は「絶対にやりたかった。国体は県外に進学した大学生もふるさと選手として長崎のために頑張ってくれる。その選手たちが卒業後に長崎で就職してくれる流れもあるから残念。一番かわいそうなのは少年勢。これから競技を続けようという意欲をなくさなければいいけれど…」と選手たちを思いやった。
 ソフトボールとともに、得点源として長崎県をけん引する剣道勢。成年女子の福田美佐子選手(西陵高教)は、高校生の指導もしながら一緒に鍛錬を重ねる。「厳しい情勢なのかもしれないけれど、特に高校生にとっては今年は今年しかない。少年たちに何とか試合をやらせてあげたい」と現場の思いを代弁した。

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