誰もが忘れがち!? ベイトリールのドラグをスムーズに作動させるためのメンテナンス術@Fishman西村均

ベイトタックルの活用術を革新的に推し進めるベイトロッド専門メーカーのフィッシュマン(Fishman)。今回はベイトリールの「ドラグ」をしっかり機能させるためのメンテナンス術! ではお話、西村均さん、よろしくお願いします。

こんにちは! Fishmanテスターの西村です。今回は前回に続いて、ベイトリールのドラグのお話ですが、ドクトルニシニシ流・一歩踏み込んだマニアックな内容です(笑)。

Profile
西村均(にしむらひとし)

ベイトロッド専門メーカー「Fishman」のテスターを務める。新潟県をホームに小渓流から海のルアー釣りまで幅広く楽しむマルチアングラー。人気サイトfimoでブログも執筆中。ドクトル・ニシニシの愛称で変な格好もするが、釣りのテクニックには定評あり。

ベイトリールのドラグをスムーズに機能させる! まずはその構造を理解

前回、今時のベイトリールのドラグは凄い! 使わないと勿体無い! と言う内容でした。皆さん試してみましたでしょうか?

試してみて、あれ? 自分のリールのドラグ、スムーズに動かない、滑らないなぁ……? と感じた方が居るのではないでしょうか。

回してみて、普通ならススーっと滑るはずのドラグが、ズッズ、ズッズ、と一定に滑らず、所々で引っかかるような、そのような症状が出たならば、今回の記事は一読の価値ありです。

と言う訳で、ここでベイトリールのドラグの機構をおさらいしてみます。基本的にはマニュアル自動車のクラッチと全く同じ構造をしているのがベイトリールのドラグなのです。

画像提供(株)クスコ様より(https://www.cusco.co.jp)

メインギヤとドラグワッシャーでドラグ盤を挟み込み、その間で発生する滑りの摩擦抵抗で力を発生するのがベイトのドラグです。

さて、じゃあ何故上記のような滑りがスムーズじゃなく、引っかかるようなドラグ作動が発生してしまうのか。

今回の記事の一番重要な部分です。

実際に分解してメンテしてみよう

なので、1台リールを分解してその部分をメンテナンスしてみましょう。丁度良く、なんとなくドラグの滑りが悪く感じた機種がありました。

左の15クラド201HGが今回のクランケです。

さぁ、問題のドラグ部分まで分解してみましょう。

メンテナンスで分解するときは、製氷皿にパーツを仕分けると便利です。

100円ショップなどで売られている仕切りのたくさんあるピルケースなども使いやすい。こちらは製氷皿。

分解してみたら思い出しました。エクスセンスのドラグを移植していましたね(笑)。

下の写真を見てください。メインギヤの裏側ですが、お分かり頂けるでしょうか。クラッチ側のドラグ盤との接触面が、海水による腐食やそのドラグ盤のカスなどが食いついていて、きちんとした平面が出ていませんよね?

ゴミなどで汚れて、状態がよくない。

これこそが、ドラグがスムーズに動作しなくなる原因なのです。

普段皆さんがメンテナンスする時、ここを気にした事はありましたでしょうか? あまり無いと思います(笑)。ギヤ歯面の洗浄とグリスアップがほとんどで、ここにはドラググリスを塗るだけで済ませていたのではないでしょうか。

実際に指で触れば、かなりガタガタボコボコになっていると思います。

特に海水で使用されたブラスギヤでは頻繁に発生する症状です。平面対凹凸面(ドラグ盤対腐食したギヤ面)では、精密な動作が出来なくなってしまうのです。ではこの腐食による凹凸を修正しながら、メンテナンスしてみましょう。

1. 砥石で優しく撫でる!

オイルストーンという平面研磨用の砥石を用意する。

使うのはこれ、オイルストーンと言う平面研磨用の砥石です。ホームセンターの工具コーナー、砥石ブースにあるはずです。青のソフトストーン、黄色のミディアムストーンとありますが、リールメンテナンスなら青で充分です。

手元にあった、以前交換した友人のカルコン201HGのギヤがより腐食していました。なので今回、面修正はこれを実験台にしてみましょう。

オイルストーンを使う時は、このようにオイル研ぎするので、適当なオイルを研磨面に塗布します。ベアリング用のオイルとかが手元にあるならそれでOKです(笑)。

軽~く指で押さえて、くるくる回しながら腐食やドラグカスを除去します。重要なのは、『削るつもりではなく、優しくなでる程度』と言う点。優しくシャリシャリと回してあげれば、汚れが取れていきまして……。

優しく撫でる程度でOK!

御覧の通り、新品かのような綺麗な平面に戻ります。

ピカピカになった!

この面を洗浄して、ドラググリスを塗布して、付け過ぎない様に余剰は拭き取って組み上げます。

2. ドラグワッシャーもメンテナンス

うわ~……上側のドラグワッシャー(アルミ)もこの有様。海水環境はいかにリールに厳しいか、と言う事ですね。

ワッシャーのメンテナンスも忘れずに。

こちらも研いでおきました。気分爽快、スムースな作動が戻る事でしょう。

綺麗な平面同士を適正なドラググリスで滑らせれば、精密正確な動作が可能になり、前回の記事のような、ドラグファイトがよりスムーズに行えるようになるのです。

さぁ、これでこのリールも実釣で活躍出来る事でしょう!

皆さんも、今度リールをメンテナンスする時は、ギヤのドラグ面を実際に触ってみて下さい。少しでも違和感がある、実際の釣りで滑りがスムーズじゃない、と感じたならば、『ドラグのメンテナンス』をするべきです。

ともすればベアリングやギヤの回転だけが取り沙汰されるベイトリールのメンテナンスですが、フィッシングギアとしての性能を100%引き出すために、ドラグのことも気に掛けて、気持ちよい釣りを楽しんで下さいね。

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