三菱重工、無人運航船開発へ 長崎で建造のフェリーに

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長崎で建造し、無人運航システムを搭載するフェリーの完成予想図(三菱重工業提供)

 三菱重工業は12日、長崎市の長崎造船所で建造する大型高速フェリーに無人運航システムを導入すると発表した。高齢化による船員不足や人的ミスによる海難事故といった課題の解決が期待される。
 子会社の三菱造船(横浜市)が昨年、新日本海フェリー(大阪市)から2隻(各1万6千トン、各定員600人程度)を受注した。長崎でフェリーを造るのは2012年に引き渡して以来。1隻目は既に起工し、無人運航システムは2隻目に搭載する。
 三菱重工によると、21年6月末に引き渡し、国内航路で商業運用しながら約1年間、実証実験を行う。同社が実用船で大規模な無人運航実験に取り組むのは初めて。1990年代から有人航海や荷役を支援する自動化システムを開発してきたが、さらに高度な無人運航の実用化を目指す。
 無人運航は人工知能(AI)が操船し、必要に応じて陸上から遠隔操作する。具体的には、離着岸時の操船制御や、他船舶との衝突や座礁を回避する技術を開発する。グループ会社が開発中の遠隔診断技術を機関室の監視に応用することで、燃料漏れなど故障の予知が期待できる。
 日本財団の助成金を活用する。同財団は同日、海運や造船、ITなど複数の企業・団体が2021年度末までに五つの無人運航船の実証実験を行うと発表した。計約34億円を投じ、世界に先駆けて25年までの実用化を目指す。国内運航船の半数を40年までに無人化すれば、年間1兆円の経済効果を見込めるという。