「評価委のシステム問題」 五島市の野口市長、施設10円売却で

 長崎県五島市が市有農業施設を10円で民間売却した経緯を巡り、市監査委員が違法性を指摘した問題で、野口市太郎市長は12日、「(10円と評価した)市有財産評価委員会の適正な価格の決定システムに問題があると思う」と述べた。今後の評価方法の見直しを検討する考え。定例市議会本会議で議員の質問に答えた。
 売却額について、評価委は施設の耐用年数が過ぎているため10円としたが、監査委員は不動産鑑定士が出した168万円を適正と判断。「10円は適正と認められず、議会の議決を経ていない違法な財産処分」として、野口市長が市に差額を払うか、議決を得るよう勧告した。野口市長は今議会に、10円売却の追認を求める議案を提出している。
 野口市長は同日の本会議で「問題の原点は評価委の評価額が適正と認められなかったこと」と強調。一方で監査委員は「市長は(評価額10円に対して)外部の不動産鑑定士に意見を聞くなど、適正価格について検討することも可能だったのに、何ら行っていない」と指摘している。
 市議会は同日、迅速な新型コロナウイルス対策のため先議案件として提出された、プレミアム付き商品券発行や宿泊や交通事業者への追加支援金給付など計2億2700万円の一般会計補正予算案を可決した。

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