関西独立リーグが開幕! 堺の新人ナックルボーラー佐野、7回1失点でプロ初勝利

さわかみ関西独立リーグが開幕した【写真:広尾晃】

さわかみ関西独立リーグの兵庫ブルーサンダーズと堺シュライクスの公式戦がスタート

6月13日、兵庫県三木市の三木総合防災公園野球場で、さわかみ関西独立リーグの兵庫ブルーサンダーズと堺シュライクスの公式戦が行われた。NPBの開幕より一足早い“開幕戦”だった。

さわかみ関西独立リーグは、2018年まで「BASEBALL FIRST LEAGUE」を名乗っていたが、2019年に「関西独立リーグ(二代目)」となり、今年1月にさわかみ財団と命名権契約を締結して、2020年のリーグ名称を「さわかみ関西独立リーグ」とした。

なお、今季北海道に発足した独立リーグ、北海道ベースボールリーグは、5月30日に公式戦をスタートさせている。

さわかみ関西独立リーグは、兵庫ブルーサンダーズ、和歌山ファイティングバーズ、06BULLS、堺シュライクスの4球団からなっている。今季は4月に開幕し、土、日休日を中心に48試合を予定していたが、新型コロナウイルスの影響で、30試合に短縮。練習試合は少し前から始めていたが、公式戦はこの日の開幕となった。

すでに関西地方は梅雨入りし、この日も降水確率90%となっていたが、午前中は一時的に雨がおさまっていた。試合開始の12時前から再び降り出したが、プレイボールの時間を少し早めて試合はスタートした。

「すでに試合数も短縮になっていますし、雨天にした場合に代替試合も難しい。選手にもずいぶん待たせていたし、何とかして今日、開幕戦をやりたかったんです」

兵庫ブルーサンダーズの川崎大介球団社長は語る。

無観客で行われたがインターネットラジオ局が中継も

新型コロナウイルス禍によって、兵庫ブルーサンダーズの運営も大きく予定が狂い、多難な年となった。スポンサーとの継続契約は、昨年秋に完了していたが、試合が始まらないとスポンサードの意義が薄れてしまう。経営陣は、スポンサーとの信頼関係を維持、継続するために会社を回るなど努力を続けた。

また、試合がない中で、選手のモチベーションの維持も難しい問題だ。独立リーグでプレーする選手の多くは、NPBのドラフトにかかってステップアップすることを最大の目標にしている。そのためには試合でアピールするしかない。その機会を奪われれば、何のために野球をしているのか、という疑問がわいてくる。

「うちは、とにかく選手のことを第一に考えています。だから選手の心のケアやサポートも続けてきました。そのかいあってか、新型コロナとは別の事情で2名の選手が退団しましたが、それ以外の選手はモチベーションをキープして開幕を迎えてくれました」

この試合で兵庫の選手が死球を受けると川崎社長はベンチに駆け付け、選手の容態を確認していた。そうした細やかな気配りも、選手のモチベーション維持には必要なのだ。

この日の試合は無観客で行われた。両球団の関係者、メディアがスタンドで試合を観戦。また、インターネットラジオ局「レディオ・バルーン」が中継放送を行った。兵庫ブルーサンダーズと和歌山ファイティングバーズは、6月中は無観客、06BULLS、堺シュライクスは開幕から観客を入れるが、各エリアの球場の都合により判断するとしている。

試合はナックルボーラー・佐野太河が7回1失点の好投で“プロ初勝利”

「当然ですが、選手や審判、関係者は事前に検温を実施しました。また、手洗い用の消毒液もベンチ内に配置し、感染症対策は万全を期しました」

審判団の判断で、ストライクボールなどのコールを行う球審は、審判用マスクの下にマスクを着用した。この日は気温は25度前後、湿度は高かったが気温は低かったので、球審のジャッジに支障はなかったが、気温が上がってくると新たな対応が必要になってくるだろう。

雨が止むことはなかったが試合は最後まで続けられた。兵庫の小笠原智一と堺の佐野太河、両先発投手のスピーディな投げ合いとなり、2-1で堺シュライクスが今季初勝利となった。今季、藤沢翔陵高校から兵庫ブルーサンダーズに入団した小笠原は、3回に2失点したものの6回までを投げ切り、先発の役割を果たした。

千葉大学在学中で独立リーグの門を叩いた堺シュライクスの佐野は、ナックルボールの使い手だが、緩急のある投球で、7回を1失点と好投し、プロ初勝利を飾った。球場には、兵庫ブルーサンダーズの元シニアディレクターだった名球会入りの大打者、加藤秀司氏も顔を出し、はるかに若い後輩たちのプレーを熱心に見つめていた。

兵庫ブルーサンダーズも7月に入れば感染症対策を十分に行いながら有観客試合に移行する予定だ。

「7月からはお客様も入れて、チームの関連グッズなども販売していきます。大変な年になってしまいましたが、選手たちを一人でも多くNPBに送りこみ、充実したシーズンにするために頑張ります」(広尾晃 / Koh Hiroo)

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