破談に終わった交渉 新たな労使協定への影響を懸念する声も

2020年シーズン開幕に向けてのメジャーリーグ機構とメジャーリーグ選手会の交渉は、合意に達することがないまま「破談」という結果に終わった。今後はロブ・マンフレッド・コミッショナーの裁量によって試合数などが決定され、2020年シーズンが行われることになる。選手会と合意に達することなく機構側の権限でシーズンを「強行開催」する形となるが、2021年限りで失効する労使協定の交渉への悪影響を懸念する声もある。

USAトゥデイのボブ・ナイチンゲールによると、機構側は日本時間6月16日、シーズンのスケジュールなどを決定する前に各球団のオーナーとの電話会議を行う予定だという。7月中旬に開幕して9月下旬に閉幕する50~60試合のスケジュールが予想され、選手会には日割り給与が全額支払われる見込みだ。言い換えれば、日割り給与を全額支払えるところまで試合数を減らす形となる。

また、「強行開催」となれば選手会からの協力は得られない可能性が高く、ポストシーズン出場枠は10チームのままとなるだろう。選手のなかには、今年プレーせず、来年のスプリング・トレーニングからチームに再合流することを選択する者も出てくることが予想される。

ホワイトソックスの幹部であるデニス・ギルバートは「我々は数億ドルもの価値がある1年分のサービスタイムを選手たちに与え、誠意を持って交渉を行っていた。しかし、彼らは100%の日割り給与を要求するところからスタートし、2か月経っても100%の日割り給与に固執している。彼らの誠意はどこにあるのだろう」と選手会の姿勢を批判した。

一方、選手会は機構側がターナー・スポーツとの放映権契約の延長に合意したとの報道を受け、給与削減を拒否する姿勢を強めた。しかし、関係者によると、この合意はまだ正式なものではなく、そもそも2022年から始まる契約であるため、今年の経済的損失をカバーするものにはならないという。

現行の労使協定は2021年限りで失効するため、近いうちに両者は新たな労使協定の締結に向けた交渉を行うことになる。しかし、2020年シーズンを「強行開催」することになれば、この交渉に悪影響を及ぼすことは確実。機構側はそれを避けるために、選手会との合意を目指していたが、残念ながら両者間の深い溝が埋まることはなかった。

機構側の権限によって2020年シーズンの開幕を迎えることができたとしても、それは必ずしも2021年以降のシーズンが無事に開催されることを意味するわけではない。「強行開催」がその後に及ぼす悪影響が懸念される。

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