小説、全米トップ10入り 元能美市ALTのブラウンさん

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 能美市で外国語指導助手(ALT)を務めていたガーナ出身の米国人ローズアン・ブラウンさん(24)のデビュー作となる小説が、全米売り上げトップ10に入った。西アフリカの民話を題材に身分違いの男女を描いた作品で、世界中で人種差別への抗議デモが広がる中、ブラウンさんは小説を通じた黒人文化への理解を求めている。後書きには能美市への感謝が記され、教え子たちは恩師の活躍を祝福した。

 ブラウンさんは2017年8月から19年7月までの2年間、能美市内の中学校でALTを務め、当時から趣味で小説を書いていた。

 デビュー作「A song of Wraiths and Ruin」は、和訳すると「生き霊と破壊の歌」。王族と難民の身分違いの男女が互いの目的のために偽装結婚するというファンタジー小説となっている。今月2日の前編の発売からわずか1週間でベストセラーとなり、ニューヨーク・タイムズ紙の「ヤングアダルトハードカバー部門」で10位となった。前編だけで466ページの長編で、後編の出版も予定されている。

 辰口中の英語教諭、谷口史恵さん(48)によると、ブラウンさんは「一時期ホームシックになりそうになった自分を能美市の人々は温かく迎え、夕食に誘ってくれたり色んな場所に連れて行ってくれた」としており、後書きには「能美市に感謝する」とつづられた。

 15日、能美市ALTのサラ・モリスさん(28)が、ブラウンさんの授業を受けていた辰口中の3年生32人に、世界中で起きている人種差別の抗議デモについて説明。「苦しい社会情勢の中でも子どもたちに勇気を与えたい。世界中の人々に愛される小説になってほしい」とブラウンさんが著書に込めた思いを紹介した。

 授業ではブラウンさんか「コロナで大変だと思うけど頑張ってください。皆さんにすごく会いたい」などと生徒に語り掛けるビデオメッセージが流された。生徒はお祝いのメッセージカードを作り、写真に撮ってブラウンさんにメールで送る予定だ。3年の角谷羽菜さんは「最初聞いた時は驚いた。先生の小説を早く読んでみたい」と笑顔を見せた。