新型コロナ軽症者用宿泊療養施設確保 長崎県担当者 胸なで下ろす

 確保が遅れていた新型コロナウイルス感染症の軽症者用宿泊療養施設が、長崎、佐世保両市でようやく決まった。施設の公募開始から約2カ月。県の担当者は「県民に必要な施設。これで安心してもらえる。とりあえずはホッとしている」と胸をなで下ろした。
 県は4月16日に施設の公募を始め、23日に締め切った後、まずは人口が最も多い長崎市で選定に入った。感染症指定医療機関に近く、最も部屋数が多い市内中心部のホテルを候補に選び、4月下旬に周辺自治会長への説明を始めた。
 厚労省は4月23日付で「ホテルを『決定』した段階で、市町村と協力して丁寧に説明し理解を求める」とする指針を通知。県も「住民の了承が必ずしも必要ではない」という立場だったが、住民から風評被害を懸念する声が上がり、説明会を開くことになった。
 説明会で、県側は「感染が拡大すれば医療機関だけでは病床が確保できず医療崩壊につながる」として理解を求めた。しかし、住民側は「患者の人権もすごく大事だと理解できるが、住民にも同様の人権がある」として譲らなかった。直接、事前説明がなかったことへの不信感もあった。
 県側は「強い反対があれば患者が安心して療養できない」として説明会を複数回開いて理解を得ようとした。理解を示す住民もいたが、反対する住民と「あいさつもしなくなった」という話が県に届き、人間関係に「溝ができる懸念がある」と判断。そのホテルの選定をいったん中断し、同時に検討を続けていた別のホテルを確保した。
 県の担当者は「施設の必要性は分かってもらっていると思うが、説明が足りないと言われ、難しかった。結果論になるが、この間、感染者がでなくてよかった」と話した。


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