議員も連帯責任負う「連座制」

河井案里氏秘書に有罪判決 今後の行方は

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記者に囲まれながら広島地検に向かう立道浩被告(中央)=3月、広島市中区

 自民党の河井案里参院議員陣営を巡る公選法違反事件で、買収の罪に問われた案里氏の公設秘書立道浩被告に広島地裁は16日、懲役1年6月、執行猶予5年の判決を言い渡した。この裁判は通常とは異なり、迅速に審理する「百日裁判」として進められた。その理由は検察側が今回の事件を「連座制」の対象とみなしたから。判決によって案里氏には失職の可能性が出てきたが、その仕組みはどうなっているのか。連帯責任を問うとされる連座制についてまとめた。(構成、共同通信=松森好巨)

 連座制は公選法に基づき、候補者と一定の関係にある人物が買収など悪質な選挙違反事件で刑が確定した場合、候補者本人の関与がなくても連帯責任を問う制度だ。

 対象となる人物は選挙運動での役割や立場などから次の六つに分類される。①総括主宰者②出納責任者③地域主宰者④親族⑤秘書⑥組織的選挙運動管理者。そのうち①~③は罰金以上、残りは禁錮以上の刑が確定すると、一定の手続きを経た後に候補者の当選が無効となる。また同一選挙区での立候補も5年間禁止される。

 立道被告が案里氏の公設秘書になったのは選挙後だったが、広島地検は被告が組織的選挙運動管理者に当たるとして3月に起訴。公選法は連座制に関わる事件の裁判は起訴から100日以内に判決を出すよう努めなければならないと規定しており(通称・百日裁判)、起訴から3カ月弱での判決となった。

 ただ16日の判決によって案里氏の当選がすぐに無効になるわけではない。被告側が控訴を見送るなどして有罪が確定した後、広島高検が提起する行政訴訟で連座制の適用対象と認定されることが必要となる。

 公選法の規定では、今回のケースのように組織的選挙運動管理者の禁錮以上の刑が確定した場合、検察側は30日以内に連座制適用を求める訴訟を起こす必要がある。今後、立道被告が一審判決を受け入れて刑が確定したならば、行政訴訟の手続きを考慮したとしても、早ければ年内にも案里氏の当選は無効となり失職する可能性がある。ちなみに、懲役は禁錮より重い刑となる。

 連座制が絡んだ過去の選挙違反事件では、2009年衆院選で当選した北海道5区の小林千代美氏、熊本3区から出馬し比例復活した後藤英友氏、12年衆院選で当選した鹿児島2区の徳田毅氏らが、連座制で当選無効となる前に辞職している。

 案里氏を巡っては連帯責任だけではなく、本人たちの刑事責任を問う動きも進む。検察当局は案里氏と夫で前法相の克行衆院議員が地元有権者らに現金を配った疑惑を捜査。17日の国会閉会後、公選法違反(買収)容疑で夫妻の立件を検討している。夫妻はこれまで買収行為を否定しているものの、自民党を離党する意向を固めたことが16日に明らかになっている。

河井克行前法相、河井案里参院議員