【高校野球】全中決勝戦完全試合&U-15で注目も…北の怪腕が選んだ地元高校で目指した“聖地”

苫小牧中央・根本悠楓【写真:石川加奈子】

甲子園初出場の夢は、コロナ禍に阻まれるも次の目標は「プロ志望届出します」

最速146キロを誇る苫小牧中央の根本悠楓(はるか)投手が、今秋プロ志望届を提出する意向を固めた。白老白翔中3年の時に全国中学軟式大会決勝で完全試合を成し遂げ、侍ジャパンU-15でも活躍した左腕が、同校から初のプロ入りを目指す。Full-Countでは高校最後の夏を完全燃焼し、次のステージを見据える選手を応援する連載企画「#このままじゃ終われない」をお届けする。

甲子園初出場の夢は、コロナ禍に阻まれた。だが、根本には目指すものがある。「ニュースを見て、甲子園のことはある程度、覚悟していました。大会はなくなりましたが、休まず練習は続けています。プロ志望届は出すつもりです。そこに関して心境の変化はありません」と入学当時から変わらぬプロ入りへの熱い思いを口にした。

高校に進学する際は注目の的だった。中学生ながら最速は136キロで、カーブ、スライダー、ツーシーム、チェンジアップと多彩な変化球を持った制球力抜群の左腕。全国中学決勝での完全試合に加え、第9回BFA U-15アジア選手権で最優秀投手を獲得しただけに引く手あまただった。通学できる高校を選んだ理由について根本は「体験会でいい雰囲気だったことと、地元の選手が多かったから」と語る。白老町と隣接する苫小牧市内にある学校で、地元の仲間たちと同校初の甲子園出場と初のプロ入りを志した。

巨人スカウトは「総合力が高い」、地元日本ハムも視察予定

球速150キロを目標に掲げて入学した後は故障もなく、着実にステップアップした。当初は軟式と硬式の違いに戸惑い、思うようなボールを投げられなかったが、重い硬式ボールに少しずつ対応。下半身をしっかり使った新しいフォームを作り上げた。170センチ、78キロと体は大きくないが、昨秋には最速146キロをたたき出し、スライダーの切れ味も増した。渡邊宏禎監督は「バッターから球の出所が見えないフォームとコントロールが持ち味。球の回転が良く、手元の伸びが素晴らしい」と語る。

コロナ禍により、今季はほぼ3か月全体練習ができない中、根本は自宅周辺でランニングやダッシュなど自主練習を欠かさなかった。「性格も良く、真面目な努力家で、放っておいても安心な選手。理解が早く、成績も学年トップ。本人の希望を叶えてあげたい」と渡邊監督はプロ入りの夢を後押ししたい考えだ。

今月から全体練習が始まり、7日の紅白戦では投球練習を再開して1週間、実戦2試合目ながら最速142キロを計測した。視察した巨人の柏田貴史スカウトは「総合力が高いピッチャーで楽しみ」と評価した。地元の日本ハムなど6球団が視察に訪れる予定になっているという。

この2年間、結果としては不完全燃焼だった。同じ室蘭支部の駒大苫小牧に阻まれ、一度も北海道大会に出場できなかった。昨夏は5-6、昨秋は0-2とライバルに惜敗。自らクリーンアップに座る打線が威力を増し、雪辱を期していたラストイヤーも夏の甲子園大会と地方大会が中止になった。ただ、悔しさを晴らす舞台はまだ残されている。北海道独自の代替大会は支部だけではなく、南北海道大会まで開催予定だ。「個人としては夏に150キロ出すこと、チームとしては南北海道大会優勝が目標」と根本。20日から始まる対外試合、さらに7月に開幕する夏季大会でプロ入りへ猛アピールを続ける。

【動画】中学時代は136キロで侍ジャパン、高校では146キロでスカウト注目の苫小牧中央・根本の実際の映像

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全国中学優勝左腕は名門の誘いよりも地元の仲間との甲子園を目指した。3年夏、最後のチャンスは消えたが、大事なその仲間と共に完全燃焼を目指す。

次の夢は地元の期待を背負いプロへ。未来へ向かう球児を応援したい。 pic.twitter.com/q8k0GWoWEu

— Full-Count (@Fullcountc2) June 16, 2020

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(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)

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