高校新卒の長崎県内就職率65.6% 目標上回る

高校新卒者の県内就職率の推移

 長崎県内高校新卒者の県内就職率は3月31日現在の速報値で、前年同期比4.5ポイント増の65.6%。2015年度から5年間の「第1期県まち・ひと・しごと創生総合戦略」の数値目標(65%)を上回った。
 県若者定着課は「企業OBらキャリアサポートスタッフを活用した求人情報の提供や、県内企業のPRを強化した成果が表れた」と分析している。
 同課によると、約10年前の県内就職率は60%前後で推移。毎年1600人近くが県外企業に就職していた。県は人材流出に歯止めをかけようと12年度、各学校に企業退職者らを「キャリアサポートスタッフ」として配置。県総合戦略に県内就職率を5年間で65%まで引き上げる数値目標を設定した。
 県外就職者が多かった工業高などを中心に同スタッフを専任配置し、校内で県内企業の説明会を開くなどして生徒へ企業情報の発信を強化。同スタッフは生徒から就職相談を受け、各企業の求人情報の収集や、求人票を出す企業の新規開拓を進めてきた。また昨年度、県職員による就職講演会を初めて県内全高校で開催。3年生に県内で働く利点を伝え「県内で働く意識の醸成につながったのでは」(同課)とみている。
 県は本年度始まった第2期総合戦略(6年間)に、25年度までの数値目標として県内就職率68%を掲げる。新型コロナウイルスの影響で、合同企業説明会などが開催できない状態が続いているが、同課担当者は「企業の採用選考の開始が1カ月先延ばしになったことで余裕もできた。これから企業説明会や講演会などで攻勢をかけ、県内定着を推進していく」と力を込める。

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