「若い人の言葉の中にこそ、すべての世代の課題を切り拓く力がある」  公明党青年委員長・矢倉克夫氏インタビュー

各政党には「青年局」という組織がありますが、公明党には「青年局」と「学生局」を束ねる組織として「青年委員会」があります。

実際にどのようなことを行っているのか?公明党の青年委員会について矢倉克夫・青年委員長にお聞きしました。

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選挙ドットコム編集部:公明党青年委員会では、どのような取り組みをされているのですか?

矢倉克夫・公明党青年委員長:若い人の声を聞き、具体的に形にしていく取り組みをしています。公明党には全都道府県に約3000名の地方議員がおり、50歳以下の方は基本的に青年委員会に所属しています。

その皆様とともに、「ユーストークミーティング」と題し10人程度の若者との膝詰めでの対話運動を昨年12月から全ての都道府県で大展開、数ヶ月で50回以上開き、700人以上と会ってきました。

コロナウイルスの感染拡大で一時中断を余儀なくされましたが、4月半ばくらいからオンラインに切り替え、数週間で50回以上、500人くらいと対話しました。例えば飲食店の経営者さんなど、みんなが集まる時間帯には参加できなかった人たちから、これまで聞けなかった生の声をきけたのが非常に良かったと思っています。

もちろん、ただ聞くだけでは意味がありません。具体の声を分類し、議員ごと役割を決めて国会質問で反映する、役所とやり取りするなど、組織的に動くとともに、5月21日は青年の代表とともに官邸に申し入れ、多くの項目を第二次補正予算案に盛り込むことができました。政策決定過程の「見える化」を通じ、「政治に声が届くんだ」と若い人たちに実感を持っていただけたと思います。

20/04/18 オンラインでのユーストークミーティング↓

 

選コム:青年委員会でこれからやっていきたいことや目標はなんですか?

矢倉委員長:まず今行なっている運動をさらに発展させることです。その上で目標ということであれば、政治家と有権者がより一体化した運動を展開することでしょうか。

例えばかつて、公明党青年委員会は、多くの若者とともに、使わなくなったラジオを集め、内戦続くカンボジアに送る運動をしました。選挙を前にしたカンボジア国民の情報格差を埋めるためです。私はその時、大学生になったばかりでしたが、政治家との一体感を肌で感じました。

政治の側に立ち改めて、若い人と政治家が同じ行動者として社会を動かす運動がしたいと思っています。SDGsの理念が一つ鍵になると思います。

選コム:青年委員会の活動で、おおまかな対象となる10代~40歳代前半の「青年層」とそれより上の世代の違いはどのようなところですか?

矢倉委員長:失われた20年とか30年などと呼ばれますが、私たちは明日への希望が当たり前に持てなくなっている世代なんですよね。

ただ、その分、他者の痛みに敏感なのかもしれません。「ユーストーク」で若い世代の意見を聞き感じたことは、障がいのある人や息苦しさを感じている人など他者の立場に立った意見がとても多かったこと。

この地球上で誰かが苦しんでいる、助けたい、そんな想像力、正義感に満ちた若い人の言葉の中にこそ、すべての世代の課題を切り拓く力があります。課題は、政治がそれに寄り添っていないこと。

若い世代の政治への無関心はそこに原因があります。若い世代の考えが、政策意思決定の過程に入れる仕組みももっと作っていかなければと思います。

選コム:矢倉さんが政治家を志したきっかけは何ですか?

矢倉委員長:私は20歳のときに父親をなくしました。父の病院の入院費が莫大になり、「どうしよう‥」と思っているときに、公明党の市議が家まで来てくれて、高額療養費制度(注1)のことなど教えてくれました。このことがあって、公明党がこの医療関係制度を整えてくれたと初めて知りました。

自分の生活と政治が直接かかわっていること、この制度を作ったのが政治なんだということがわかった。あったかいのが政治だし、あったかくなければいけないんだな、と感じました。同じ思いをいまの若い人に感じて欲しいというのが政治家としての原点の一つです。

選コム:今後、政治家として実現したいことは何ですか?

矢倉委員長:まず、青年委員長という立場から、若者のライフステージにあった支援ができる仕組みを率先してつくりたい。出産や育児支援など重要ですが、単身者が政治から置いていかれないようにすることも大事です。

加えて、人同士が支え合うという理念を大事にする社会にしたい。年金制度の持続可能性なども課題です。また、支え合うお金の流れをつくるという意味で寄付文化の醸成などもしたい。

オンラインの環境整備など、地域にいながら便利になる社会が実現できればと思います。人の創造的な営みがもっと花開けると思いますし、多様な若い人の意見をしっかり実現することにもつながります。

あと、国際弁護士として活動した経験を活かし、日本を、国際社会秩序の安定をリードする交渉力のある国にしたいです。

選コム:政治に無関心な若い世代にとって、公明党の役割とは何だと思いますか?

矢倉委員長:パフォーマンスに流れない公明党の愚直さ、政治の「最後の防波堤」のような役割です。社会に対していい影響を与えたい若い人たちと政治家の接点を実感してもらい、若い人の力が政治を良いものにしていく、公明党はその動きの核にあると思っています。

公明党は少数与党という立場で、現場に一番近い存在でありつつ政権の中にいます。それは、現場の声を実現する責任があるということです。予算や制度的な制約のもと、現実的に何ができるか、闘い切っていく責任があります。

昨今は政治家のパフォーマンス的な言動がSNSで拡散し、なにも結局実現しないということがよく起こります。単なるパフォーマンスではなく、しっかりと声を聴いて、一つ一つ着実に形にしていく、愚直に貫いていく、本来あるべき政治のスタイルを貫きたいです。

選コム:きょうは大変貴重なお話をありがとうございました。

注1 高額療養費制度・・・医療費の家計負担が重くならないよう、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1か月で上限額を超えた場合、その超えた額を支給する制度。

 

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