ヒュンダイ、TCRの育成プログラム選手4名を発表。バックマン兄妹は強豪Targetに残留

 ヒュンダイ・モータースポーツのカスタマーレーシング部門は、2020年シーズンのジュニアドライバープログラムに加入する4名のドライバーを発表。TCRヨーロッパ・シリーズからアンドレアスとジェシカのバックマン兄妹と、その僚友のダニエル・ナジー、そしてTCRオーストラリア初代王者のウィル・ブラウンが選出された。

 スウェーデン出身の兄アンドレアスと妹ジェシカのバックマン兄弟は、これまでTCR規定ツーリングカー選手権で一貫してヒュンダイのマシンをドライブしており、eスポーツ選手権の『TCR Europe SIM Racing』で開幕4連勝と驚異的な強さを披露しているハンガリー出身のナジーとともに、昨季に続いてのプログラム入りがアナウンスされた。

 これにより、バックマン兄妹は引き続き2020年も強豪Target Competitionに残留し、ヒュンダイi30 N TCRでTCRヨーロッパ・シリーズを追うことが確定した。

 一方、2019年のルカ・エングストラー、ダニエル・ミランダに代わってプログラム入りを果たしたウィル・ブラウンは、2019年創設のTCRオーストラリア・シリーズにHMO Customer Racingからエントリー。見事、初代チャンピオンを獲得した逸材でもある。

 そのブラウンが2020年に唯一、欧州選手権に参加しないドライバーとして同プログラム入りし、引き続き地元オーストラリアのシリーズタイトル防衛に挑む。

「このプログラム設立からわずか1年という短い期間ながら、すでにヒュンダイ・モータースポーツ・カスタマーレーシング・ジュニアドライバープログラムは、我々の顧客をサポートする戦略上、重要なパートであることが証明されている」と語るのは、同部門の代表を務めるアンドリュー・ジョンズ。

「このイニシアチブの一環として、非常に好調なシーズンを終えたルカ・エングストラーは、今季すでにWTCR世界ツーリングカー・カップの一員としてレギュラーシートを獲得し、フル参戦を果たすことが決まった」

2019年創設のTCRオーストラリアにHMO Customer Racingからエントリーし、初代王者に輝いたウィル・ブラウン
ウィル・ブラウンは2020年も引き続き地元シリーズに参戦。VASCにも耐久カップ登録でエントリーする

「今季選ばれた選手たちのクオリティも高く、彼ら全員が最高峰シリーズですでに戦える能力を備えていると思う。その4名には、今季カスタマーレーシング部門のエンジニアがサポートにつくほか、WTCRレギュラードライバー勢がメンターとして彼らの指導にあたる。これにより、彼らがプログラムの成功事例に加わってくれるものと確信している」

 このうち、2年目のプログラム続投とTarget残留が決まったバックマン兄弟だが、兄のアンドレアスは2019年のバルセロナ戦でシリーズ初勝利を挙げ、ドライバーズランキングでも4位に喰い込むなど初年度のリージョン選手権挑戦で結果を残している。

「このドライバー・イニシアチブに選出された数少ないレーシングドライバーのひとりであることに、とても興奮している」と、喜びを語った25歳のアンドレアス。

「ヒュンダイ・モータースポーツが僕らを信用し続けてくれていることを光栄に思うし、過去最高の成績を残せるようできる限りの努力を尽くしたいと思う」

 一方、22歳の妹ジェシカも、2019年のホッケンハイム戦で表彰台を獲得したほか、STCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権やTCRドイツでも堅実な戦績を積み重ね、年末のFIAモータースポーツ・ゲームスでは6位に入賞している。

「この素晴らしい機会は、ドライバーとして成長し、最終的に私たちの目標に到達するための最良の条件を与えてくれている。目標はもちろん、世界で最高のツーリングカードライバーとWTCRでレースすることよ」と、意気込みを語ったジェシカ。

 これで2020年のTCRヨーロッパ・シリーズを戦うTarget Competitionはアンドレアスとジェシカに加え、ナジー、ホセ-マヌエル・サパーグの4名が確定している。

初年度のTCR UKなどでも活躍し、2019年はTCRヨーロッパでも実力を開花させたアンドレアス・バックマン
妹ジェシカ・バックマン(右)もスポット参戦のSTCCで表彰台に上がるなど、参戦各所で能力を発揮してきた

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