巨人&阪神は追い風、中日は恩恵ほぼなし? 増える外国人5枠をどう使う【セ編】

阪神のボーア、巨人のサンチェス、ヤクルトのエスコバー(左から)【写真:荒川祐史】

投手の外国人が多い巨人は「投手4、野手1」となるか?

6月19日の開幕に向けて、臨時実行員会を開いて今季の特例ルールを決めたNPB。その大きなポイントとなるのが出場選手登録を31人に、ベンチ入り人数を26人に拡大、そして外国人枠を4人から5人へと拡大するところになるだろう。

外国人枠については出場選手登録は5人になるが、試合に出場できるベンチ入りは従来通り4人以内となる。ただ、登録を「野手4、投手1」「投手4、野手1」で登録した場合、その後の比率変更はできない。1人だったものを2人に増やす場合は従来の4人制にしなければならない、とされた。

5人が登録できても、一度にベンチ入りできるのは4人となるこの新たな特例。一度に4人の野手を起用できるわけではなく、有効な策として考えられるのは、先発投手を1人ないし2人入れておくことか。その先発投手が投げるときに、別の外国人を休ませるだけで済み、投手起用に幅が生まれることになる。

では、この特例で各球団にとって、どう影響が出るだろうか。12球団の外国人枠事情と、登録枠の活用方法を占ってみたい。まずはセ・リーグだ。◎は出場選手登録確実な選手

【巨人】(外国人7人)
投手:◎デラロサ、◎サンチェス、◎メルセデス、ビエイラ、ディプラン
野手:◎パーラ、モタ

巨人は守護神のデラロサ、先発ローテに入る見込みのサンチェス、メルセデス、そして新助っ人のパーラが登録されるのは確実。残る1人をどうするか、は悩ましいかもしれない。ビエイラを登録し「投手4、野手1」とするのが順当だが、その後の運用に制限が生まれる。この制限には目をつむり、救援のデラロサ、ビエイラ、野手のパーラの3人、そしてサンチェス、メルセデスをきっちりローテで回すことが現実的だろうか。

DeNAは野手3人の起用は確実、投手で残る2枠をどう使うか

【DeNA】(外国人6人)
投手:ピープルズ、パットン、エスコバー
野手:◎ロペス、◎オースティン、◎ソト

投手3人、野手3人のDeNAにとって、この特例は追い風になりそう。運用は「野手3、投手2」「投手3、野手2」どちらも可能。まずはロペス、オースティン、ソトの野手トリオを使わない手はない。残りの2枠を投手に充て、例えば、先発のピープルズを起用する試合は助っ人野手で状態が悪い選手を休ませる、など臨機応変な起用法が可能になりそうだ。

【阪神】(外国人8人)
投手:◎エドワーズ、ガンケル、◎スアレス、ガルシア、呂彦青
野手:◎マルテ、◎ボーア、サンズ

最多の外国人8人を抱える阪神。現状を見ると「投手3、野手2」の運用が想定されるだろう。開幕時点では打者でマルテ、ボーアは確実、投手陣ではリリーフのエドワーズ、スアレスの1軍入りも有力視されている。先発ローテにはガンケル、ガルシアが入る見込みで、4人を常用し、残る1枠を“投げ抹消”を活用しつつ回すことになるか。練習試合で不安定だったエドワーズの状態が上がらなければ、先発2人を登録しておくこともできる。

【広島】(外国人7人)
投手:◎K・ジョンソン、DJ・ジョンソン、◎スコット、フランスア、モンティージャ
野手:◎ピレラ、◎メヒア

投手5人、野手2人の広島は「投手3、野手2」での運用となるだろう。1番起用が濃厚なピレラや練習試合で5本塁打を放ったメヒアは打線の厚みを考えると外せない。ローテの中心のK・ジョンソン、守護神候補のスコットも確実。残る1枠がフランスア、DJ・ジョンソンのどちらかになる。シーズンが進む中でもこの配分は基本的に変わらないだろう。ジョンソンの先発時にはリリーフの1人ないし、野手の1人を休ませることになる。

【中日】(外国人6人)
投手:◎ゴンサレス、ロメロ、◎R・マルティネス
野手:◎アルモンテ、シエラ、◎ビシエド

中日は投手3人、野手3人が在籍するが、ロメロは3月に左肩手術を受けており、今季の復帰は微妙。すなわち、中日は残る5人全員の出場選手登録が可能となる。とはいえ、現状で見れば、ベンチ入りする4人はゴンサレス、R・マルティネス、アルモンテ、ビシエドでほぼ決まりか。この新特例の恩恵、中日はほぼ享受できないのではないだろうか。

【ヤクルト】(外国人5人)
投手:◎イノーア、クック、◎マクガフ、◎スアレス
野手:◎エスコバー

外国人が今季の登録枠5人ちょうどのヤクルト。そのため、「投手4、野手1」での運用になる。そして、起用法も分かりやすい。先発候補がイノーア、スアレスの2人。そのため、残りの3人は常にベンチ入りし、あと1枠を先発の2人で回せばいい。とはいえ、クックはファームでの調整が続いており、練習試合では投げていない。今後の緊急的な助っ人補強などを考えなければ、メリットが生まれそうだ。(Full-Count編集部)

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