FIRANDO 海外の新種ユリに平戸ゆかりの名前 市民団体がオランダの園芸会社に働きかけ実現

「FIRANDO」と命名、品種登録されたユリ(林さん提供)

 オランダで開発された新種のユリがこのほど、英国王立園芸協会から中世の平戸を表す「FIRANDO(フィランド)」と命名され、英国で品種登録された。専門機関の欧州植物品種庁から欧州での栽培も許可された。品種登録は平戸市の市民団体「花で結ぶ絆プロジェクト」(林浩司代表)が、オランダの園芸会社「ロイヤル バン ザンテン(RVZ)社」に手続きを依頼し、実現した。同プロジェクト代表で、生花店の経営者でもある林さんは英国、オランダと平戸の、400年以上前にさかのぼる交流の歴史を象徴する花「ユリひらど」として今後、その球根を輸入、国内で販売する予定だ。
 「FIRANDO」は華やかな薄いピンクで天を向くように咲く。国内では花に地名を付けて品種登録することは認められていないため、林さんが中心となってRVZ社に協力を求めた。
 「花で結ぶ絆プロジェクト」は新種の花に「平戸」と名付け、地域活性化につなげようと2007年に活動を開始。09年、新種「チューリップひらど」の命名と品種登録を実現させた。その後、林さんらは、姉妹都市となったオランダ・ノールトワイク市の市民団体と花を通じた交流を続けている。
 林さんらはチューリップに続き、ユリにも平戸の名前を付けようと花の色や形などを設定。RVZ社に該当する新種を探してもらった。希望した外観に近い花が見つかった18年には林さんらが現地に赴き、実物を確認。「HIRADO」での命名、品種登録は認められなかったが、第2案だった「FIRANDO」で手続きが進み、今年5月、命名と品種登録が実現した。
 林さんは商品名「ユリひらど」として、球根の販売を予定。「オランダなどとの友好の証し。新たなお土産品になって、全国に平戸の良さを広めるPR大使になってほしい」と期待を込める。RVZ社のハンス・ダーメンさんは「この事業に関わることができてうれしい。FIRANDOが日本で咲き誇る日が楽しみ」とメッセージを寄せた。林さんによると、日本国内での検疫などのため、球根の輸入、販売開始は約2年後になるという。

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