国交省・経産省、マンションなどの浸水対策ガイドライン

国土交通省と経済産業省は6月19日、マンションやオフィスビル、病院などの「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」を発表した。電気設備の上層階の設置などを呼びかけ。今後、地方自治体や業界団体などに周知を図っていく。

両省は2019年の台風19号による神奈川県川崎市のマンションでの電気設備浸水による停電被害などを受けて、ガイドラインの策定作業を進めてきた。高い場所など浸水リスクの少ない場所に電気設備を置くのが望ましいとした。高い場所などの設置が困難な場合は、水防ラインを設定し、止水板や防水扉を設置する。

換気口など開口部も想定浸水深より高い位置に設置。排水管を通じて下水道から逆流が生じないよう、貯留槽に溜めた雨水などをポンプアップして排水する構造とし、排水設備に立上り部や流入を防止するバルブを設けるといった逆流防止措置が有効とした。

電気設備が設置されている区画への浸水を防止するため、当該区画の出入口に防水扉を設置するほか、外部から建築物内への電源引込み口や配管の貫通部その他の開口部についても、止水処理材の充填などにより浸水を防止する措置を講じるべきと指摘している。

浸水した場合の取り組みとしては、復旧のための対策の検討も重視。排水作業と受変電設備の清掃・点検で2~3日、受変電設備の復旧作業の手配・準備から送電まではさらに2~4日程度とみられている。関係者への連絡体制図や電気設備の関係図面、時系列で対応内容を記載したタイムラインなどのあらかじめの用意も進めておくべきとしている。

電気設備などを屋上に設置した、大阪市のオフィスビルの事例

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