第1回 ◆ 前線の医師に聞く今後のコロナ対策

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第二波を防ぐためにも 予防と、持病の管理を

Q. 病院のコロナ病棟での治療体験について聞かせてください。

A.

3月下旬から2週間、勤務するマウントサイナイ病院で、緊急構成されたコロナ対策チームに配属されました。3人1組の医療チームが40チーム、12時間シフトで勤務しました。コロナ感染は肺だけでなく多臓器にわたる病気なので、さまざまな専門医が連携して治療に当たり、内分泌内科専門の私も、糖尿病のコロナ患者は重症化リスクが高いため、現場で貢献できました。

現場の医療従事者は、自分を含め家族への感染を恐れ、帰宅するとシャワーをして別室にこもり、ひと寝入りしたらまた起きて病院へという生活でした。

Q. 病院でのガウン、マスク、手袋着脱のプロトコルとは?

A.

手袋は、病院では二重に着用します。用事を終えたらまず外側の手袋だけを外してごみ箱に入れ、内側のきれいな手袋をした状態で、ガウンやフェースシールドを脱ぎ、マスクを外します。最後に内側の手袋も外しごみ箱へ。そしてさらに手洗いという順番です。

日常生活では、手洗いの方が重要です。手袋で誤った安心感を抱き、手袋をした手で顔を触らないよう注意してください。マスクを外すときは、耳から外し、外側の表面に触らないように。マスクを触った後も手洗いをお忘れなく。

3月下旬マウントサイナイ病院のコロナ病棟で。コロナ対策チームは3人1組で、左から柳澤先生、研修医、フィジシャンズ・アシスタント

Q. 第二波を防ぐために市民は何をすべきでしょうか?

A.

マスク、手洗い、ソーシャルディスタンシングで、感染者数は大幅に減りました。今後もそれを続けることです。5月末からのプロテストでは、それがおざなりになっているのでとても心配です。

職場復帰の安全対策の基本は、マスクを必ず着用し、出勤前と職場到着後に手を洗うこと。キーボードや机の表面、作業具、ドアノブなどもこまめに拭きます。共有エリアの定期的な殺菌も必須です。

社内で感染者が出たら、できれば1日空けて殺菌します。その間社員は自宅勤務の方が良いでしょう。1日空けるとウイルスの数も減るので、殺菌作業をする人の感染リスクを下げることができます。社内の濃厚接触者は2週間の自宅勤務をお勧めします。

Q. 持病の管理について教えてください。

A.

糖尿病や高血圧などの持病がある人は、それらをしっかり管理することが、感染後の重症化を避ける鍵です。糖尿病は管理不十分だと炎症が毛細血管に及び、腎臓や心臓、足先の壊死など、全身に影響する疾患なので、コロナ感染で追い討ちをかけると重症化してしまいます。しかし、日頃から管理状態がよく健康状態を保っていれば、感染しても回復する可能性は高くなります。

感染が怖いから病院に行きたくないと、主治医との定期検診をキャンセルせず、ビデオ診療などを利用して続けてください。健康な人も、コロナ予防と並行して、日頃から健康管理に気を配ってほしいです。

Q. 人類はコロナウイルスとの闘いに勝てるでしょうか?

A.

今世界中で、コロナウイルスとその治療法の研究が進められています。今後はウイルスをコントロールし、共存する時代になるのではないかと思います。

今世界の医療で最優先されているのがコロナワクチンです。インフルエンザ同様、毎年流行する型を予測してワクチンを作ることで、管理可能になる日が1日も早く来ることを祈っています。

柳澤貴裕先生 Robert T. Yanagisawa, MD _______________

内分泌内科専門医師(Board Certified)。 糖尿病や甲状腺疾患が専門。 マウントサイナイ・アイカーン医科大学教授、国際医療教育日本部門監督、東京女子医科大学招待教授。 米国日本人医師会(JMSA)会長。 感染対策の情報共有のために時事通信社のトップセミナーや日本医師会有識者会議のウェビナーで講演。 JMSAコロナウイルス参考HP=jmsa.org/category/covid-19

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