【関連】県対馬病院・八坂貴宏院長 インタビュー 命に関わる病気発症で本土搬送

糖尿病の要因について説明する八坂院長=県上五島病院

 離島での糖尿病などの現状について、昨年3月まで県上五島病院の院長を務めた県対馬病院の八坂貴宏院長に聞いた。

▼離島地区は糖尿病予備軍が多い。
 伝統的な食べ物を見ても、かんころ餅や豆ようかんといった甘いものが多く、糖分を摂取する機会が多い。野菜を食べる量が少ないことも一因。1日に350グラムほどの摂取が必要とされるが、その7割程度という印象がある。島内での野菜栽培量が少なく、価格が高いことも影響しているのかもしれない。公共交通機関が発達しておらず、マイカーに依存する生活の中では意識して歩くことが必要。

▼約20年間、上五島で勤務した。
 食文化が豊富な地域。一方で、お弁当を買ったら揚げ物が多いというように、他の離島同様に味付けが濃かった。牛肉も多く食べているように感じた。コレステロールや脂質が多い肉の食べ過ぎは好ましくない。魚にしても味付けが濃いのはよくない。

▼島は高齢化が進む。
 高齢者は高血圧や高脂血症など複数の病気を持つ人がおり、合併症を起こす可能性が高い。糖尿病は心臓病や脳卒中のリスクを高める。命に関わる病気が発症しても離島では十分な治療ができず、本土に搬送するケースもある。そうした事態にならないよう予防が重要だ。

▼糖分だけでなく、塩分の摂取についてもひと言。
 取り過ぎは高血圧を招き、脳卒中や心臓病のリスク要因となる。みそ、しょうゆに多く含まれるので気を付けてほしい。

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