《ぐんま 看板娘がおもてなし in 富岡》国際交流員 ヴェロニック・ムーランさん 日仏の絆 文化と自然

 世界文化遺産「富岡製糸場」を中心に据える富岡市は、フランスとの関わりが深い。製糸場建設を主導した技術者、ポール・ブリュナの生誕地、ブール・ド・ペアージュ市と友好都市協定を結び、フランスから国際交流員を迎えるなどしている。昨年8月から国際交流員として働く、ヴェロニック・ムーランさん(24)もその一人。

◎「明治時代」が息づく街

 ムーランさんは富岡市を「文化と自然」と表現する。明治時代の文化が息づく市街地はもちろん、豊かな自然も魅力という。「妙義山や崇台山に登ったけど、外国人にも魅力的だと思う」

 仏・メス市出身。13歳の頃、友人の影響で日本のポップ音楽に興味を持ち、日本への関心が芽生えた。パリ郊外のセルジー・ポントワーズ大で日本語や観光などを学び、日本で働くという「大きな夢の一つ」を富岡市でかなえた。

 「温かい人に囲まれ、富岡で良かった」と思う日々を製糸場のユーチューブに発信している。そんなムーランさんと町を巡る。

【富岡製糸場 東繭置所の2階】

 東置繭所の2階が製糸場内で最もお気に入り。「静けさや広さがフランスの大聖堂を感じる」からだそう。

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 南北に約104メートルと広大で、繭32トンを保管できた。瓦屋根を支える小屋組みは西洋から伝わるトラス構造。

 「当時は繭を年に1度しか飼育できず、1年分を保管していた」と流ちょうな日本語で説明。場内で使われる単語は独特なため、「フランス語のほうが説明に時間が掛かる」と言う。

 (富岡1-1・午前9時~午後5時)

【城山】

 「この柵の先に、ちょうど富岡製糸場が見えるんです」と城山の展望台から指さす。手前には市街地が広がり、その向こうには山並みがパノラマ展開する景色が望める。

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 「朝は鳥の声がよく聞こえる。妙義山に沈む夕日もおすすめ」。製糸場から徒歩1時間以内で山頂に着くほど低い山で、毎週のように訪れるという。

 「あっ! 桑の実は初めて見た」「大きな梅が実ってますね」。登山道で見る自然の移ろいを楽しんでいる。

 (下黒岩)

【スイーツ食べ歩き】

 製糸場周辺は食べ歩きが楽しめる店が多い。「くらさん家(ち)」(富岡104-3)のたい焼きならぬ「カイコやき」は“新名物”と一押し。「大好きなおかいこさんの形」にあんこやクリームが入る。現在、新型コロナウイルスの影響で休業中だが、JAファーマーズ富岡などで販売している。

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 古民家を改装した「KUTUROGI~寛~」(富岡50)は無添加ジェラートを22種類用意。桑の実と桑の葉を食べた。「実は甘酸っぱくて夏にぴったり。葉は抹茶に似てるが少し違うのでぜひ試してみてほしい」

《わたしが撮るならこんな視点》

 富岡製糸場の近くにある「カフェ ドローム」(富岡51-4)に立ち寄った。「ドローム」はフランスの地名で、製糸場の建設指導者、ポール・ブリュナの出身地。

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 製糸場が創業した頃に建てられた古民家を改装した店で、キッシュを食べた。日本の土壁にフランスの絵画がマッチする内装は、つい写真を撮りたくなる。

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