和菓子交流、コロナで"希望者足止め" 熊本地震後に再建、体験スペース設置 熊本市の片岡さん

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片岡圭助さんが工場2階に新たに設けた和菓子体験のスペース。コロナ禍で和菓子を通じた交流は閉ざされたままだ=熊本市南区

 熊本市南区の和菓子職人、片岡圭助さん(59)は熊本地震で全壊した工場を再建し、和菓子づくりを体験できるスペースを新たに設けた。しかし、インバウンド需要を見込んで始動しようとした矢先の世界的な新型コロナウイルス感染拡大。人の流れは止まり、和菓子を通じた国際交流は閉ざされたままだ。

 「いい場所でしょう。でも、誰も来ないままだよ」。6月上旬、木の香りが漂う木造2階建ての新工場2階で片岡さんがつぶやいた。テーブルと椅子が置かれた30平方メートルほどのスペース。海外の観光客などを対象に、和菓子教室を開く予定だった場所だ。

 片岡さんは約25年前から国籍や年齢を問わず、学校やイベントで和菓子づくりを指導してきた。体験型の観光に力を入れている熊本市の要望もあり、地震後は自前で和菓子教室を設けることにした。

 工場はグループ補助金を使って建て直し、昨年11月に完成。今年1月には旅行会社から“第1号”の申し込みがあり、4月中旬にはハワイから夫婦ら19人が体験に訪れる予定だったが、すべてキャンセルされた。

 工場の建設費用は約5500万円。自己負担の約1770万円について、昨年11月、くまもと産業支援財団(益城町)に無利子融資を申し込んだものの、貸付金はまだ交付されていない。同財団によると、交付までに平均半年ほどかかっているという。民間金融機関からつなぎ融資を借り入れているため、刻々と増える利子がのしかかる。

 コロナ禍で売り上げが減少した上、無利子貸し付けが滞る現状に片岡さんは頭を抱える。「売り上げをなんとか戻すために店を改装するなど『次の一手』を打ちたいが、資金繰りが難しい。早く熊本地震の負債を終わらせてコロナに立ち向かいたいのに…」(飛松佐和子)