オンラインイベント「試すテレ東祭」でテレビ東京が目指す「テレビ局と視聴者」の新たな関係とは?

世界的な新型コロナウイルス感染の拡大により、人と人同士のリアルな接触が減少。一方でネットワーク網の構築が進みオンラインで人がつながる時代へと突入した。この「リアルとオンライン」に着目し、テレビ局と視聴者との新たなあり方を模索するテレビ東京が、6月26日から7月5日までの10日間、無観客配信イベント「試すテレ東祭」を開催。このほど、リモート制作発表会が行われ、無料⽣配信で⼀般公開された。

第1弾はロンドンブーツ1号2号の田村淳が、東京都豊島区の人々と共にコロナウイルスと池袋を取り巻くさまざまな状況を議論してきた番組「田村淳が豊島区池袋」(日曜深夜2:05)の成果発表ともいえるイベント「田村淳のバーチャル池袋作戦会議!ミラーワールドとは何者か!」。

番組でリモート会議を重ね、話し合ってきたことがいよいよ形になることについて、田村は「夢物語みたいに語ってきたことが実際に動き始めたということに、非常にワクワクしています」と述べ、さらに「今までテレビ界はいろんなことを試してきたんですが、失敗が許されない状況下ではなかなか思い切ったことができなかった。コロナ禍に背中を押されてそれが試せるようになったことは、唯一プラスに捉えるべきことだと思います」との心境を明かした。

この「田村淳のバーチャル池袋作戦会議!」は、6月26日午後7:00からニコニコ生放送、テレビ東京公式YouTubeチャンネル、LINE LIVEで無料配信される。そして翌6月27日から9日間連続で開催されるのが、テレビ東京の若手、ベテラン問わず人気番組を作り上げてきた9人のプロデューサー・ディレクターが仕掛ける、九つの無観客有料ライブ配信イベントだ。

6月27日午後8:00からは、本イベント企画を統括するテレビ東京の伊藤隆行プロデューサー(「モヤモヤさまぁ~ず2」ほか)のもとに結集した、佐久間宣行プロデューサー(「ゴッドタン」ほか)、星俊一プロデューサー(「テレ東音楽祭」ほか)、工藤里紗プロデューサー(「アラサーちゃん」ほか)、高橋弘樹プロデューサー(「家、ついて行ってイイですか?」ほか)、板川侑右プロデューサー(「勇者ああああ」ほか)、祖父江里奈プロデューサー(「来世ではちゃんとします」ほか)、 岩下裕一郎プロデューサー(「やりすぎ都市伝説」ほか)、上出遼平ディレクター(「ハイパーハードボイルドグルメリポート」ほか)、飯田佳奈子プロデューサー(「シナぷしゅ」ほか)らが、テレ東ならではのヤバすぎる裏話や、ヤバい企画の作り方などを赤裸々トークする「テレ東社員だらけのワンコイン裏サロン」。

6月28日午後8:00からの「生でやりすぎ都市伝説ナイト」は、Mr.やりすぎ都市伝説 関暁夫が、岩下プロデューサーとテレビでは話せない都市伝説を語り尽くすという内容。「関さんも普段から放送カットされてる部分には言いたいことがあると思うんです。こうして腹を割って話すのは初めてなので、この配信ではけんかする覚悟でいこうかなと」と岩下氏も意気込みを語った。

6月29日午後8:00からは「池袋発!テレ東Mixaliveフェス#1」。ライブができない日々で、パワーが有り余っているアーティストたちが無観客でリモート音楽フェスを開催し、池袋から迫力の生ライブを配信する。本イベントの担当は星プロデューサーで、進行は「内村のツボる動画大賞」で公開したダンス&歌唱動画が話題の森香澄アナウンサーが務める。

6月30日午後9:00からは「withコロナ時代に必要な『新・性教育』セクシャルマインドセットをバージョンアップせよ!!」と題し、コロナ禍であらわになった家庭や会社での性認識のズレで起こった数々のトラブルを検証しながら、性にまつわる認識を更新するためにSHELLY、鈴木涼美(作家・社会学者)、宋美玄(産婦人科医・性科学者)、峰なゆか(漫画家)、ゆきぽよ(モデル・タレント)ら“性と向き合ってきたプロ”たちが話し合うというもの。担当する工藤プロデューサーは「性に対するマインドセットがバージョンアップされてない会社は潰れると思います。そういう親もヤバイと思いますので、女性に限らず男性にも見てほしいです」とアピールした。

7月1日午後8:00からは、現在放送中の「勇者ああああ」(木曜深夜1:30)のスピンオフ企画として、「生勇者ああああ~無観客生配信って聞いたんで面白いけど地上波でボツにしてた企画、ちょっと試してもいいですかライブ~」を配信。担当する板川プロデューサーは「『勇者ああああ』はゲーム番組でありお笑い番組でもあるのですが、面白いけどゲームと関係ない企画とか、身内ウケすぎなボケ企画も上がってくるんです。今回、見に来てくれるのはよっぽどの番組ファンでしょうから、お酒でも飲みながらでちょうど楽しいくらいの企画を三、四つほど用意しています」と、配信ならではの気軽に楽しめる内容を考えているという。

7月2日午後7:00からは、キー局でまだ冠番組を持ったことのない4組のタレントをブッキングし、ファンとタレントがオンラインで制作会議を開きながら、テレビ番組作りを一緒に楽しむというコンセプトの「いきなり『冠』ツクル!~一緒に“番組”作ってみませんか?~」。登場するのは、さらば青春の光、キンボシ、マヂカルラブリー、神宿の4組。そして特別枠として、田村も参加する。担当の高橋プロデューサーは「制作会議のところから配信するので、会議で盛り上がったところが実際には滑るとか、タレントさんが面白くないところ、カンペで面白いことを言わせようとしているのを芸人さんが無視したり、そこから笑いにつながったりと、作るところすべてが丸見えなのが面白いと思います」とこのイベントの意図を語った。

7月3日午後7:30からは「ハイパーハードボイルドグルメリポート」の上出ディレクターが、半グレ組織“怒羅権(ドラゴン)”を創った人物をゲストに招き、闇鍋を囲む生配信「池袋 生 闇鍋」をおくる。上出ディレクターは「とにかく悪いやつと言われますが、その源流にはマイノリティーや差別があった。彼らがどうして徒党を組み、どうして暴力に頼ったのか。そして今、世界中で同じようなことが起きている現状を闇鍋を介して話せたらいいなと思います」と、社会派ディレクターとして企画意図を解説した。また、本イベントではMR(Mixed Reality=複合現実)という、仮想世界と現実世界とをカメラを通じて重ね合わせる技術を使用し、より非日常的な演出がなされるとのこと。

7月4日午後8:00からは、少し毛色が異なり、演劇ユニット「ブス会*」を主催するペヤンヌマキが「演劇『女のみち特別編~アンダーコロナの女たち~』」と題した演劇を配信。緊急事態宣言が明けた後、AV撮影の控室で、外出自粛のうっぷんが溜まりまくった女たちは怒濤(どとう)のごとくしゃべりまくり、そしてコロナ厳戒態勢下でAVの撮影が久しぶりに行われることに。一体どうなるのか?という劇作家、演出家でAV監督も務めているペヤンヌならではのリアルな内容。担当の祖父江プロデューサーは「ドラマの現場では、マスクをしてさらにフェイスシールドをする厳重な体制の下で撮影をしている状態なのですが、AVでの撮影はどうなっているんだろうというのを演劇でやっていきます。また、コロナの状況下での恋愛や、女性はどう生きていくべきかなど、たくましい女性たちを描けたら」と意欲を述べた。

そして、ラストとなる7月5日は「佐久間宜行スペシャル企画『クズか、宝か?~見えない企画を試してみる会~」。思いついたはいいが、出しどころのない企画、突飛すぎてやるべき番組がなかったり、成立しているのか不安だったり、いまいち見えきれていなかったり、脳内に抱えたままモヤモヤした企画を実験的に試し、検証するイベントとなっている。佐久間プロデューサーは「制作人生も20年になると怖くてやれない企画も多々あって、今回は視聴率も出ないし、アンガールズ・田中(卓志)とかハライチ・岩井(勇気)なら怒らないからやってみようかなと(笑)。あともう1人、腕もあって怒らない売れっ子バイプレーヤー芸人の出演を予定してます」と構想を明かした。今回見事面白くなった企画は、佐久間プロデューサー演出の番組でお披露目される可能性も。

これら意欲的で実験的な配信の試みの数々を聞き、また自身もバーチャルイベントを主催する田村は、「何か頭の中で考えていたことより、生で起こったことに制作陣が応えていく“手触り感”が感じられるイベントだと思うし、『失敗してやろう』という気持ちでトライすることがもっと広がればいいですね。テレ東がまたいろんなことを試し始めたぞと、広めてください。頑張って“試し”にいきたいと思います」と、この新たなチャレンジを後押しする宣言をした。

各イベントの日程や料金、チケットの詳細はテレビ東京イベント公式サイト(http://www.tv-tokyo.co.jp/mixalive/ )をチェック。

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