ドイツ国内の大規模イベントが10月まで禁止も、ニュルブルクリンク24時間は開催へ前向き

 6月17日、ドイツ政府は『イベント参加者の連絡先の提出や衛生規制を遵守することができない場合、ドイツ国内の主要なイベントの禁止を10月31日まで延長する』と発表した。これをうけ、ニュルブルクリンクおよび、ニュルブルクリンク24時間レースの主催者であるADACノルドラインは、24時間レースの実現が可能であるとの見解を示した。

 ADACノルドラインは「ニュル24時間は、政府の禁止令に影響を受ける多くのイベントのひとつにあたるが、我々主催者は開催へ向けての準備を続けている」としており、レースディレクターのヴァルター・ホーヌングも「新型コロナウイルス禍でニュル24時間の開催に向けての状況は何度も変化した。今回の決定では、特定の状況下で衛生規制に準拠してイベントを実施できることが明確に規定されているため、それらの新たな状況にも対処するつもりだが、まずは首相と連邦政府の下した決定が、ラインランド・プファルツ州とアールヴァイラー地区の特定の条例規制にどのように影響するかを待つ必要がある」としている。

 またADACノルトラインの大会組織委員の担当者らは、ニュル24時間開催へ向けて準備と並行して、レース開催へ向けてさまざまな観点からあらゆる状況を想定しての調査を重ねており、前出のホーヌングは「今年の24時間レースは、例年とは明らかに多くの点で異なるだろう。新型コロナウイルス禍においてのこの数カ月間は、何度も規約が変更され、禁止された事項もあれば、緩和された事項もある。9月までの3カ月間には、恐らくまだ多くの変更が起きるだろう。だからこそ開催に向けて状況を注意深く監視し続ける必要とその対処策を準備する必要があるが、24時間レースをキャンセルすることはない」と強調した。

 一方で、「ニュルブルクリンクは、十分なスペースの確保と衛生対策のインフラを備える世界最長のレーストラックであり、サーキットおよびコースサイドへのアクセス規制、多くの観戦ポイントの所有、数多く備える衛生設備および衛生管理基準は、さまざまなガイドラインに準拠することが可能だ」とニュルブルクリンク代表取締役のミルコ・マークフォートは述べた。

「パンデミックが始まって以来、ニュルブルクリンクは独自に衛生・安全ガイドラインを作成し、政府や地区の行政の規則緩和とともに4月からフォーミュラコース、スポーツドライバートレーニング、ツーリスト走行等の走行枠を徐々に拡大し、6月15日のVLNプレシーズンテストを無事に終え、6月27日にはニュルにとって2020年初レースとなるVLNの開幕戦を迎える。

 VLNの開幕戦は新型コロナ感染拡大防止により、厳格な衛生・安全面のガイドラインの下で、無観客レースとして開催されるのだが、VLNのレースオフィシャルはプレシーズンテストからさらに具体化した、衛生・安全面を考慮したコロナ禍の特別レギュレーションを追加し、各チーム関係者へ確認・理解と協力を求めている。

 ニュル24時間を前にして、VLNの第1~5戦は予行練習とも言えるVLNなだけに、実戦を経験した上に、変更・改良点が加えられるのではないかと考えられる。

 VLNのプレシーズンテストに参加したチーム関係者に様子を聞くと、各チームで消毒液や手洗い用の液体石鹸、マスクは十分に準備をし、参加人数の厳守、三密の回避、感染者が出た場合に感染経路を明確にするための参加者名簿の提出にも異議はなかったという。

 ドイツ国内ではすでにレストランやカフェの営業が再開しているが、店内での飲食者には必ず氏名と連絡先の提出を求められることもあり、VLNテストでも同様な措置で問題はなかったようだ。まずはコロナ特別ルールのVLNの開幕戦を経験して、少人数制のフォーメーションに徐々に慣れるのではないか、と述べている。

 24時間レースの開催地であるニュルブルクリンクはVLNオフィシャル、ドイツモータースポーツ協会、ADAC、そして州や市町村の行政担当者、国立ボン大学病院の医師・研究者らと新型コロナウイルスの感染拡大防止を念頭に、衛生・安全管理を徹底し、VLNやニュル24時間レースの開催に向けて精力的に準備を行っている。

 ニュルブルクリンク代表取締役のフォートは「非常に厳しい状況下に置かれているが、VLNの再開を目の前にし、続いてAvDオールドタイマーGP、ADAC GTマスターズ、DTMドイツツーリングカー選手権、ワールドラリークロス等、ニュル24時間の他にも今季開催予定の数多くのレースを楽しみにしている」と述べた。

 また、ニュル特融のレースの雰囲気はいつもファンとともに、そしてファンを通じてもたらされるものである事を言及し、「ふたたび観客がニュルを訪れることを実現できるようにするために、現在懸命に取り組んでいる。私たちが作成した衛生・安全対策のコンセプトは継続的に改良され、常に行政機関のガイドラインに適合されている」としたうえで、「行政関連機関との話し合いの結果をもとに、何がどの程度可能になるのか、近日中に示す予定だ」と述べている。

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