世界4冠のスパコン「富岳」 基本姿勢は「2位になっても仕方ない」だった

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計算速度など主要4部門のランキングで世界一になったことを喜ぶ理化学研究所の松本紘理事長(右端)ら=23日午後、神戸市中央区港島南町7(撮影・中西幸大)

 日本勢のスーパーコンピューターとして9年ぶりに世界一を奪還した理化学研究所(理研)の「富岳」。理研が23日、神戸市中央区の計算科学研究センターで開いた会見で、松岡聡センター長は「世界1位になれたのは、さまざまなアプリケーションで最高性能を出すマシンを作った『結果』であって、決してその逆ではない」と述べた。理研は、富士山の「高い頂と広い裾野」のように、圧倒的な計算力による幅広い社会貢献を目指している。

 先代の「京」は、旧民主党政権時の事業仕分けで「2番じゃだめなのか」と追及され、計画凍結の危機にさらされた。その後世界一になったが、松岡センター長は「特殊なソフトでしか動かせないなど汎用性に乏しく、商業的に成功したとはいえない」とみる。

 一方「富岳」は、スマートフォンと同じプログラムで動くなど多様性や使いやすさにこだわった。2021年度の本格運用を予定する。会見で松岡センター長は「使いやすさを追求したことで結果的に2位になっても仕方ない、というのが基本的姿勢だった」と話した。

 「富岳」と並行して医療や防災、エネルギーなど重点課題に対応するアプリケーションも開発。すでに新型コロナウイルス対策で、治療薬の検索や飛沫の飛散予測などに試験運用されている。(霍見真一郎)