池の水、抜いてみたら… 50年ぶりの〝水神さま〟

池底にたまったヘドロの除去を行う海南神社関係者ら=14日、三浦市三崎

 海南神社(三浦市三崎)で今月6、7日に、境内にある池の水が抜かれ、濁った水で見えなくなっていた「水神さま」と呼ばれる石碑が姿を現した。池の水が抜かれるのは半世紀ぶりといい、地元では「懐かしい」「初めて見た」などの喜び、驚きの声が上がっている。

 同神社などによると、石碑は高さ約2.4メートル、幅約1.9メートル。神像や武人、てんぐ、修験僧など9体の像が彫られ、かつては三崎の漁師が出漁する際に海上安泰を祈ったとされる。池は1640年に寄進されたと言い伝えられるが、石碑の制作年や作者は詳細不明という。

 幅約5メートル、長さ約20メートル、水深約2メートルの池の水が抜かれたのは、同神社青年会が清掃を行った1970年ごろ以来。コイや亀が生息する池は、ヘドロで黒く濁り、水中は見えない状態が長年続いていた。水を抜いて清掃できないかと長年考えていたところ、テレビ番組の撮影で今月実現した。

 14日には同神社青年会などが池底に残っていた泥を除去し草刈りも実施。ぴかぴかになった池に今後、雨水などで自然に水が満たされるのに合わせてコイなどの生物を戻すという。境内では今、物珍しそうに石碑を見つめたり、写真を撮ったりする参拝者の姿が見られている。

 約50年前、池の水を抜く作業に参加したという湊不二雄さん(73)は「懐かしい。この年齢になって、また石碑が見られてうれしい」と感慨深げ。米田郷海宮司(46)は「子どもの時にはすでに池が濁っており、初めて石碑を見た。水に漬かっていない石碑は今しか見られない。見ていってもらえたら」と話している。

© 株式会社神奈川新聞社