「観光客の笑顔見たい」 南島原市ガイドの会「有馬の郷」会長 佐藤光典さん(74)=南島原市北有馬町=

豊富な知識を基に原城跡をガイドする佐藤さん=南島原市南有馬町

 観光客の歓声と笑顔が消えた。世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の一つ原城跡(南有馬町)。鳥のさえずりが城跡内にひときわ大きく響く。「来場してくれる人々がいてこそ」。小さなため息も大きく聞こえた。
 発足6年目の「有馬の郷(さと)」は20代から80代まで29人で組織。原城跡での「総合案内業務」や市民を対象とした「ふるさと発見塾」など多岐にわたる活動を通して南島原の魅力や歴史、文化を発信している。予約ガイド数は8372人(2018年度)と着実に成果を上げてきた。
 しかし、コロナ禍で3~5月まで自粛。定年退職後のライフワークにしていた会員も多く、「何をして過ごせば」と寂しげだった。
 そんな中、業務の見直しのほか文献や史料の整理、再開時の新しい取り組みづくりに着手した。その一つが駐車場から案内所まで約20分の「ボイスガイド」。歴史・観光・市の情報などをレコーダーに音声収録。「3密」を回避しながら観光客が好みのガイドを受けられるサービスを提供する予定だ。
 「まだまだアイデアがいっぱい。観光客の笑顔がもっと見たい」

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