NASCAR:黒人ドライバーに対する憎悪犯罪はなし。「縄は昨秋から置かれていた」とFBIが結論

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 NASCARは6月23日、ダレル・ウォレスJr.(ババ・ウォレス)への憎悪犯罪疑惑に関するFBIの調査結果を公表し、事件性はなかったとの結論を明かした。

 事件はタラテガ・スーパースピードウェイで行われていたナスカ“ガイコ500”のレースウイーク中に発生したもの。シリーズにフル参戦する唯一の黒人ドライバーであるウォレスJr.のピットガレージで縛り首用の縄(輪縄)が見つかっていた。

 アメリカでは黒人に対する差別行為として、この輪縄が自宅前などに置かれることがあるという。

 現在アメリカではミネソタ州で起きたジョージ・フロイドさん殺害事件に端を発する人種差別反対運動が活発化していて一部では暴徒化するなど社会問題に発展している。ウォレスJr.に対する差別疑惑は、NASCARが人種差別反対の立ち場をあらためて示すなか発生した。

 現在NASCARは基本的に無観客、もしくはあらかじめ招待した観客だけを受け入れる形でレースを開催しており、チームのピットガレージに立ち入ることができたのはドライバーやチーム関係者、大会運営にかかわるスタッフなど、NASCAR関係者に限られるため、NASCARは「犯人を見つけ出し、このスポーツから排除する」と強い怒りを露わにしていた。

 差別疑惑が発覚したあと、NASCARはFBIアメリカ連邦捜査局に調査を依頼し、現場にFBI捜査官が入って調査が進めれてきた。

 そして現地23日に調査が終了。NASCARは「FBIの調査で、輪縄は昨年秋ごろにはガレージに置かれていたと結論づけられた。よって、ババ・ウォレスに対する憎悪犯罪は起きていなかった」との調査結果を公表した。

「タラテガ・スーパースピードウェイではFBIが調査を進め、ババ・ウォレスは憎悪犯罪の対象ではなかったことが明らかになった」

「証拠として提出された写真などから、FBIはババ・ウォレスのガレージ内で見つかった縄は昨年秋ごろから存在していたものと結論づけた。つまり、この縄はババ・ウォレスとカーナンバー43のクルーが当該ガレージを使用することが決まる前から、ガレージ内に置かれていたことになる」

「FBIによる素早い調査に心から感謝する。また今回の件はババ(ウォレス)に対する差別的意図がないことが判明したこともうれしく思う」

「もちろん、我々は今後もモータースポーツを愛するすべての人々を受け入れるという立場を維持し続ける」

レースウイーク中、ピットロードではあらためて団結を示す行進も行われ、ダレル・ウォレスJr.がライバルと握手や抱擁を交わして団結を示した

 疑惑発覚後、NASCARはレースウイーク中にピットレーンでババ・ウォレスを先頭に行進を行って団結を示すなど、差別根絶に向けた立場をあらためて示していた。