ニッサン10年ぶりの新車種。ミハエル・クルムも太鼓判を押すコンパクトSUV『キックス』発表

 日産自動車は2020年6月24日、新型コンパクトSUV『キックス』を発表、6月30日(火)より発売するとアナウンスした。ニッサンの電動パワートレイン『e-POWER』を搭載するモデルのみの設定で、価格は275万9900~286万9900円となっている。
 
 2020年5月中旬から国内での広告展開をスタートしたキックス。市場でも若々しいデザインとe-POWERを支持する声が上がっているという。

 現行のキックスは、海外では2016年から販売されているモデルだ。今回、発表されたキックスe-POWERは2020年5月にタイで追加された新グレードだ。2016年版のキックスに対し、最新モデルはヘッドライトが大型化され、フロントマスクはシャープさを増したデザインにブラッシュアップされている。

 前述のとおり、国内版キックスには、電動パワートレインのe-POWERが搭載されている。直列3気筒1.2リッターエンジンと電気モーター、157kWhのリチウムイオンバッテリーを組み合わせ、システム合計で最高出力129ps、最大トルク26.5kgmを発生。

 同門のノートe-POWERが109ps、25.9kgm、セレナe-POWERが136ps、32.6kgmなので、キックスe-POWERは中間の立ち位置となる。

キックスのリヤスタイル。全高はJUKEに比べて20mm高い。シルバーのルーフレールは標準で装備される。

 キックスは2019年12月に国内での生産を終えたジューク(JUKE)の実質的な後継車種にあたる。ボディサイズは全長4295mm、全幅1760mm、全高1585mm。ジュークに比べると160mm長く、20mmほど背が高い。ホイールベースもキックスの方が長いため、室内の居住性は広がっている。これはライバルのホンダ・ヴェゼルやトヨタC-HRとほぼ同格といえるボディサイズだ。

 グレードは『X』のみ。駆動方式はFWDに限られ、4WDの用意はない。安全装備においては、衝突被害軽減ブレーキが標準装備となるが、インテリジェントアラウンドビューモニターやインテリジェントルームミラーはオプション設定となる。

 一方、高速道路の運転でアクセルとブレーキ、ステアリングをアシストしてくれる『プロパイロット』は標準で装備された。

『X ツートーンインテリアエディション』。ボディカラーはピュアブラックパールメタリック。

■ダブルVモーショングリルを採用し、アクティブで精悍なデザインに

 エクステリアを見ていこう。フロントフェイスはニッサンのVモーショングリルを採用しているものの、表情は柔らかく、幅広い層に受け入れられやすい印象を受ける。

 SUV色は薄めだが、シルバーのルーフレールは標準装備となる。ボディカラーはモノトーン9色、2トーン仕様を4色を用意。プレミアムホライズンオレンジ、ラディアントレッドパール、サンライトイエローなどの鮮やかなトーンから、ナイトベールパープルなどの深みのあるトーンまで、カラーバリエーションの幅は広い。

 タイヤは205/55R17と、精悍な印象の5本スポークデザインの17インチアルミホールを装着する。

 インテリアはJUKEのデザインの印象をうまく受け継いでいる。キックスもJUKEも2トーンカラーの内装だが、キックスの方が黒の面積が多めで、ポップさを押さえたデザインだ。

『X ツートーンインテリアエディション』。ダッシュボードやシートにオレンジを差し込んだコーディネイト。センターにはインパネと一体感のある9インチのナビが置かれている。丸を基調としたエアコンの吹き出し口は、JUKEの名残り。
『X』の内装色はブラックのみ。

 
 後席のニールームは約600mmの広さが確保されるなど、後席の居住性はジュークと比べて向上。大人もくつろいで座ることができる。

 また、後席は6対4分割可倒式を採用。荷室の床面はフラットにはならないが、荷物の量に合わせてアレンジが可能だ。

 価格は『X』が275万9900円(税込)、内装がツートーン仕様となる『X ツートーン仕様』は286万9900円(税込)。

キックスの後席。クルムも「GOOD!」を出す広さを確保。頭上スペースは85mm、ニールームは600mm。
後席は左右分割式を採用。通常時でもスーツケース4つ分を積み込める。

 6月24日にオンラインで行われた発表披露会では、スーパーGTでニッサンのアドバイザーを務めるミハエル・クルムが、事前にニッサンのテストコースでキックスに試乗した様子も紹介された。

「キックスは加速がスムーズで、街中での平均速度で走っているときの静粛性の高さも快適さにつながっています。アクセルを戻すとクルマが減速する『Smartモード』がすごく楽しい! 後席は183cmの僕が乗っても頭上も足元も余裕たっぷり」と感想を語っていた。

 若々しいデザイン、ニッサン独自のe-POWERとプロパイロット、そして200万円代の戦略的な価格設定など、全方向で“攻め”の戦略で、激戦のコンパクトSUV試乗に挑むキックスの市場での評価に注目だ。

ニッサン・キックスを発表。2020年6月30日より発売を開始する。

■ニッサン・キックス X ツートーンインテリアエディション 諸元

車体

全長×全幅×全高 4290mm×1760mm×1610mm

室内長×室内幅×室内高 1920mm×1420mm×1250mm

ホイールベース 2620mm

車両重量 1350kg

乗車定員 5名

駆動方式 FF

トランスミッション ー

サスペンション 前/後 ストラット/トーションビーム

タイヤサイズ
205/55R17

エンジン種類 直列3気筒DOHC

エンジン総排気量 1198cc

エンジン最高出力 60kW(82ps)/6000rpm

エンジン最大トルク 103Nm(10.5kgm)/3600-5200rpm

燃料タンク容量 41L

モーター種類 交流同期電動機

モーター最高出力 95kW(129ps)/4000-8992rpm

モーター最大トルク 260Nm(26.5kgm)/500-3008rpm

モーター駆動用電池種類 リチウムイオン電池

車両本体価格 286万9900円

『X ツートーンインテリアエディション』。ボディカラーはサンライトイエローパール。
『X』。ボディカラーはダークブルーパールメタリック。
『X ツートンインテリアエディション』。ボディカラーはブリリアントホワイトパール。
『X ツートーンインテリアエディション』。ボディカラーはブリリアントシルバーメタリック。

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