被爆者の「声紋」爆心地に 芸術家・竹田信平さん アプリと連動も

「声紋源場」の完成予定イメージ(竹田さん提供)

 長崎原爆被災者協議会(長崎被災協)は7月から8月にかけ、長崎市松山町の爆心地公園の地表に、ペンキで被爆者の声紋を描くアートプロジェクト「声紋源場」に取り組む。市が事業費の4分の3(上限額100万円)を補助する「被爆75周年記念事業」の一環。
 制作するのは、ドイツやメキシコを拠点に活動する芸術家の竹田信平さん(41)。声紋源場では自然への影響が少ない米製のペンキを使用。7月13日から制作を始めて1週間ほどで完成し、8月7日ごろまで市民らに公開する。地表に描かれた声紋をスマートフォンなどの専用アプリで読み取ると、被爆者12人の証言を聞くことができるという。
 竹田さんは23日、オンラインで記者会見を開き「75年前に爆心地で何があったのかを想像してもらう、一つのきっかけになれば」と話した。長崎被災協の田中重光会長(79)は「被爆者がいる時間はあまり長くはない。(声紋源場は)今までにない新しい継承の形で、成功することを大いに期待している」と語った。

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