薫製、一夜干し… 小長井牡蠣の新たな楽しみ方 諫早湾漁協職員 鶴田政文さん(34)=諫早市=

「小長井牡蠣のブランドを大切に思ってもらえる消費者に届けたい」と話す鶴田さん=諫早市小長井町

 キラキラと水面が輝く諫早市小長井町沖。カキいかだが点々と浮かぶ。「日本一」を誇る「小長井牡蠣(かき)」の産地に異変が起きた。4月に合併した諫早湾漁協は6月中旬まで水揚げを続け、むき身を加工した商品販売に全力を注ぐ毎日だ。
 空梅雨、大雨、台風に見舞われた昨季。8割超が斃死(へいし)する事態に陥った。宮城県産を諫早湾で育て、急場をしのいだが、新型コロナウイルス感染拡大が追い打ちを掛けた。3月以降、関東や関西のオイスターバーや居酒屋などが休業し、注文が途絶えた。カキ小屋目当ての客も遠のいた。
 昨季の異常気象の影響で、小長井産の水揚げ量は前季の3分の1まで減ったが、コロナの影響で行き先を失った。そこで始めたのがカキの加工商品の開発。薫製やしぐれ煮、ふっくらとした身の「華漣(かれん)」のオイル漬けなどに加え、今回、新たに一夜干しが登場。パッケージも新調し、同漁協直売店と長崎市のアミュプラザ長崎内の土産品店「すみや」で販売を始めた。
 「カキ独特の味が楽しめる商品を作りたい。諫早で育てているカキを市内の店で食べてもらえたらうれしい」。商品開発と販路探しへ懸命だ。

© 株式会社長崎新聞社