新しい「避難」

 私たちはものの例えに用いるが、「バケツをひっくり返したように降る」のは1時間に30ミリ以上、50ミリ未満の激しい雨という“分類”があるらしい。気象庁の「雨の強さと降り方」にまつわる用語によれば、「滝のように降る」のは1時間雨量が50ミリ以上を指す▲さらに80ミリ以上だと「息苦しくなるような圧迫感がある。恐怖を感ずる」と臨場感をもって言い、屋外の様子は「水しぶきであたり一面が白っぽくなる」と表す▲80ミリをはるかに超えれば、圧迫感も恐怖心も言葉にならないほどだろう。25日の早朝から、佐世保市あたりで1時間に120ミリ以上を観測し、五島列島では「50年に1度の記録的な大雨」の情報が出た。きょうの朝にかけても油断できない▲自然災害の時期が来たと、天が告げるようでもある。避難指示や勧告が出されたが、これまでと違って「避難」と「感染対策」の両立という難問が横たわる▲避難スペースを広く取るために、学校では体育館に限らず教室も使う。避難所では段ボールでベッドを作り、間に「仕切り」を置く-。自治体も住民も考え方、やり方を変える時らしい▲聞き慣れない言葉だが、安全な親類宅への「縁故避難」、動かない「在宅避難」の呼び掛けもある。場合によっては新しい“用語”も取り入れつつ、災害に備えたい。(徹)


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