空き家の活用法とメンテナンス【人の住まない空き家は傷む?】

©草の実堂

「人が済まない家はすぐ傷む」

そんな言い伝えを聞くことがある。

度々報じられる「空き家問題」に絡め、今回は空き家の活用法とメンテナンスについて考えていきたい。

なぜ空き家ができるか?

通常、家には人が住んでいるのが一般的だ。
空き家はなぜ発生するのだろうか。

一つには、高齢化社会が関係しているといわれる。

一軒家の所有者が高齢化し、その”自宅”から老人ホームや家族の家に移り住む。それによって旧”自宅”が空き家になるというパターンが多い。

また、その空き家を家族が相続しても問題は残る。

使い道が分からないとして放置しているパターンもあれば、物置き代わりに利用するパターンもある。
勿論、思い出の場所として残しはするものの、あくまで別荘的な扱いであり、そこに住みつかないというパターンも多い。

首都圏にアクセスの近い場所にある家であればともかく、過疎化の進む地方の家を相続しても処遇に困る、というのが実情のようだ。

空き家問題、そのリスク

さて、個人の所有物である空き家は所有者の好きにすればいいと思うのだが、現代日本において「空き家問題」は無視できない社会問題になっている。

その問題点としては幾つかある

まず、人が住まないため掃除や整備、草むしり等の管理等ができずじまいになることが多い。そのような家・庭は手入れがされておらず周囲の景観を乱すため迷惑がかかってしまう。

当然、古い家でリフォーム等がなされていないことも多い。長年使用され老朽化した家屋は倒壊の危険性があるため、これは明らかな問題だ。

他にも、無人であることが知られることによるリスクもある。不法侵入や放火など空き家を利用した犯罪の発生率が上がるのだ。
誰もおらず放置されているのをいいことに、家具等を不法投棄されてしまうケースも確認されている。

これらの問題は、活用できていない一軒家を所有している人にとって無縁なものではない。
また、その空き家の近隣に住む住民にとっても無視できる問題ではなくなってくる。

所有者は活用するか売却するか、責任ある対応が求められる。

空き家を活用しよう

空き家は、本来の使い道を見失って人の出入りがなくなった家屋だ。
家の本来の目的通り活用されれば、それは単なる空き家ではなくなる。

普段住まない家をどう活用することができるか。

おすすめなのが、空き家を「気分転換のための空間」にすることだ。

現代人にとって、家庭でも職場でもない「サードプレイス」を持つことが人生の質を高めると言われて久しい。

おそらく仕事帰りに寄れるような場所にはないだろうが、週末に里帰り感覚で気分転換をしに行くにはうってつけだ。
勿論、家の状態が悪ければ心地よくは過ごせないかもしれないが、リラックス空間を目指してメンテナンス・リフォームするのも楽しみ方の一つになりそうだ。

近年すっかりメジャーになった民泊シェアハウスといった活用法も選択肢に入れていいかもしれない。
コロナ禍が尾を引く現在だが、終息すればまたオリンピック関連の需要やインバウンドの受け皿として活躍できる可能性は十分に考えられる。

また、観光目的ではなく移住希望者向けに「空き家バンク」に登録するのも有効活用のひとつだ。

いずれにしても、折角の不動産を所有していながら放置しているのは管理リソースの無駄になる。有効活用を考えたい。

空き家に人を入れる意味

さて、活用方法が見つかっても見つからなくても、空き家を所持している以上は物件を良い状態に保ちたい。

昔から「人の住まない家は傷みやすい」と言われる。

ただの物体なのに、居住者の有無によってその保存状態が変わるものだろうか?と不思議に思う人も少なくないだろう。
空き家が傷みやすい理由はいくつもある。

大きな理由の一つに、空気の動きがないと家が傷むというものがある。

閉め切られ、換気がされないままだと湿気が家を蝕んでカビなどが増殖する。特に木造、タタミ、カーペット、また電化製品等にとって湿気は大敵だ。

雨戸やカーテン等を閉めたままにしておくと日光が入らないため、最近やダニ等も殖えやすい。
かといって窓やドアを開け放っておくわけにもいかない。

空気と同様に、水道管も定期的に水を通さないとサビが出る。
冬には水抜きをしないと凍結・破裂する地域もある。

排水管の途中には、下水から虫や悪臭が逆流するのを防ぐ「トラップ」という水たまりの部分があるが、水を流さないまま長期間放置するとトラップの水が蒸発して、悪臭や虫が出てくる大惨事にもなりうる。

人がいないと、微細な家の破損・劣化箇所に気づくことができないため早期の対応ができず、各種設備・建物が壊れやすくなるのも事実だ。

人気がないとクモやネズミをはじめとした各種害虫・害獣が侵入し住みついてしまいやすい。

これらの動物は視覚的に不愉快なだけでなく、ウイルスや寄生虫、フンや死骸等で著しく家の環境衛生を害する可能性がある。

こういった生物を威嚇し遠ざける意味でも、定期的に家に入り、水道をひねって流しに水を流したりトラップを設置したりすることが望ましい。

メンテナンスできなければ処分も検討

これらを考慮した場合、空き家のコンディションを保つには最低月一回ほどのペースで通い、物件の様子を見てあげることが望ましい。

もし年に一度程度しか通わず、活用のめども立たないようであれば、余力があるうちに早めに売却してしまった方が良い場合もある。

思い入れやしがらみ等も天秤にかけた上で納得した処分をしていきたい。

(文 / ニジクマノミ