「五輪選手村マンション」入居延期へ、契約者や検討者はどうすべきか?

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コロナ禍による東京五輪延期問題で、分譲マンションにも影響が及んでいます。そのマンションは選手村として利用される予定の晴海フラッグです。マンション評論家という立場だけでなく、実際に購入を検討しており申し込むも落選、その後の販売期で再度申し込もうとしていた矢先に販売見合わせとなってしまったリアル検討者という目線で語ります。


約900戸が契約済み

晴海フラッグの全体戸数としては5632戸、内訳は分譲が4145戸、賃貸が1487戸を予定しています。分譲に関しては2019年7月に販売を開始し、2020年6月時点で約900戸が契約済みとなっています(供給は940戸) 。

先日からSNSや各種メディアでも話題になっているのが、東京五輪延期による晴海フラッグの引き渡し時期への影響です。すでに契約済みの方々へ「引渡し時期の変更」についての説明がなされています。

引渡し時期変更による契約者の選択肢としては主に2つとなります。

__1\. 引き渡し時期未定のまま契約継続
2. 白紙解約__

契約済みのほとんどの方は自らが住むために購入されています。晴海フラッグを気に入った理由は様々にしても、すべての方が当初の引渡し時期である2023年3月下旬というタイミングに納得して購入されています。

引渡し時期延期はほぼ確定、さらにはいつになるかわからないというのは困ったものです。契約済みの方で東京五輪の選手村跡地だから購入したという方は少なく、はっきり言ってしまえば延期になろうが中止になろうが関係ないのです。

白紙契約を選ぶ場合は

東京五輪が開催されればレガシーとなるのは確かで、一方、中止になれば街全体が新品として引き渡されるわけでどちらに転んでもメリット・デメリットはあります。

一番知りたいことは正確な引渡し時期なのです。

晴海フラッグに限らず青田買いとなる新築マンションを購入される方は、引渡し時期に合わせて人生設計を立てるわけです。 晴海フラッグに関しては引渡しと同時期に中央区の小中学校が新設される計画でしたが、そちらの開校も延期となりました。

子供が小学校1年生になるタイミングに開校、入居だから選んだという方も多いはずです。それぞれの延期が1年だとしても2年生で転校しなければなりません。転校先は新設校ですから問題ないにしても1年間通った小学校から転校させることに気が引けるという方も多いことでしょう。

そのような状況ですから白紙解約という選択も可能です。

一般的に新築マンションを購入する際には物件価格の10%を契約時に手付金として預けておきます。8,000万円であれば800万円です。その手付金を戻してもらい契約をなかったことにすることができるのです。

施工不良などで引渡しが大幅に遅れる際などは手付金倍返し、なんなら3倍返しなんてこともあるのですが、今回は売主にとっても不可抗力となりますから手付金を返還することしかできません。

契約とはお互いを守ることでもありますから、不可抗力であるかぎりは手付金返還以上のことはないでしょう。そもそも契約者からすればお金の問題ではなく先に述べた引渡し時期未確定が一番困ることなのです。

晴海フラッグの魅力

それでは契約者はどのような行動をとればよいのでしょうか?

大きなポイントとなってくるのは白紙解約する場合にはいつまでに申し出ればよいのかということ。

これに関しては記事執筆時点では未定とのことですが、おそらく正式な引渡し時期が確定するまでは締め切らないでしょう。契約者にとって一番気になる引渡し時期が未確定なのに契約継続か白紙解約を選べというのは酷すぎます。万が一にも正式な引渡し時期が未確定の状態で選択を迫るのであればそれは大きく抗議すべきでしょう。お金の問題ではないのです。住むために購入しているわけで引渡し時期未確定というのは本来あってはならないことなのですから。

冒頭で述べたように私自身も晴海フラッグの購入を検討していた一人です。第一期で申し込むも落選、次期の販売は欲しい部屋がなかったため見送りましたが、コロナ禍による販売見合わせ直前に予定されていた販売期では申し込む部屋まで決めていました。もちろん投資目的ではなく住むためです。

私が晴海フラッグを気に入った理由としては中央区にしては単価安で広い部屋が買える。暮らしに必要なものが揃う一体開発。駅からは遠いがBRTや既存の路線バスなども豊富で「最寄り駅までBRTやバスでそこから電車」ではなく「目的地までBRTやバスでダイレクトアクセス」ができるからです。また、車移動の多い私にとって地下駐車場&首都高出入口近接も大きな魅力です。

一般的に駅から離れるマンションは価値が低いことが多いです。不動産価値は9割が立地と言われるくらいです。それでも晴海フラッグの魅力は地図で見れば一目瞭然でしょう。駅からは離れますが銀座駅まで約2.5km、東京駅まで約3.3kmという近さ、気軽にタクシーが利用できる距離です。

BRTと路線バスを利用すれば東京、銀座、新橋、虎ノ門、豊洲、台場などへ電車を利用せずにダイレクトアクセスできるのです。電車へ乗り換えるにしても辿り着く先が新橋など山手線も利用できる駅ですから東京の東側勤務であれば通勤時間は短くなります。もちろん中央区内の駅近で購入したほうが通勤時間はもっと短くなるものの、住環境や価格と部屋の広さのバランスを考慮すれば晴海フラッグの魅力は大きいのです。

残念ながら購入できていない状況ではありますが、仮に私が契約者の立場であれば以下の行動をとります。

白紙解約できるというオプションをもった状態で再度住まい探しをスタートする。

正式な引渡し時期が確定しない以上は白紙解約というオプションを締め切ることは考えにくいですから、再度新築マンションや中古マンションなど他の候補となりそうな物件の見学を始めます。その中で良いのがあれば契約して晴海フラッグは白紙解約、もし良いのがなければ晴海フラッグの契約を継続します。

通常であれば契約済みのマンションがありながらも他を探して良い物件に出会いそちらへシフトする際は手付金没収となるわけですが、今回は手付金返還されるわけで、悔しいけども他の選択ができるチャンスができたと割り切るしかないでしょう。

もちろん新設校の入学に時期が合ったから購入して絶対に転校させたくない方や、テンションが下がってしまいとても住む気になれなくなった方は白紙解約してしまってもよいでしょう。これまでの時間は無駄になってしまうにしても、住まいはご縁ものです。気持ちよく住めないなら白紙解約したほうがいいでしょう。

今後のマンション相場は?

コロナ後のマンション相場は不透明です。コロナ後といえるほど収束したわけではないですし、まだまだ油断できない状況です。このまま収束に向かったとしても世界的な大不況がやってくるかもしれません。今は緊急事態宣言中の消費控えによる反動や金融緩和政策により反動時期となっていますから不景気どころかコロナバブル感はあるものの年末の賞与明細で不景気が現実のものであると感じる方も多いかもしれません。なんなら賞与をもらえるだけありがたいということにもなりかねません。

私は2017年の記事で「東京五輪(2020年)までマンション価格は下がらない。2023年頃から1割下がる」と予想しています。

結果論ではありますが、2020年までマンション価格が下がらないということは予想が当たりました。建築費高騰の影響で原価が高い以上は販売価格を下げられないというのが予想の根拠でした。

2023年頃からマンション価格が下がると予想した根拠としては東京五輪後に建築費が下がることで原価が抑えられるからです。2021年に発注したマンションが完成するのは早くても2023年頃となります。東京五輪が延期されてしまい、現状では建築費が下がったという話は聞かないもののホテルなどとの土地競争が少なくなり、土地代も落ち着くのであればダブルパンチでマンション価格が下がる可能性はあるでしょう。2017年の予想通り1割下がるのであれば今時点で8,000万円のマンションが7,200万円になる計算です。

コロナ禍の影響で収入減となる方も多いでしょうから、例えば8,000万円を予算にした方が、収入が1割下がり予算を1割下げた7,200万円にすることもあるでしょう。 この先どうなるかはわかりませんが、上がったものは下がるものです。

晴海フラッグは「買い」?

東京五輪の開催が確定した2013年頃からはマンションの購入検討者に対して、「どれもこれもおすすめです!」 「とにかく早く買いましょう!」とお伝えすることが多かったですが、今は「この先下がっても後悔しない住まい選びを」というアドバイスをすることがほとんどです。

2017年に公開した記事を見てすぐに購入された方は2019年、2020年には引き渡しを受けることができているため、2023年に1割下がったとしてもローン残債を減らすことができているので残債割れのリスクは少ないです。しかし、今から新築マンションを買う方は2022年、2023年頃の引渡しとなることが多く、引き渡された時点で相場が下がっていれば引き渡された瞬間から含み損となってしまう可能性もあります。

私の予想が当たる可能性は50%もないかもしれません。ただ、相場が下がりそうな条件が揃っていることも確かです。

そんな中でも現在の相場から見てお安い晴海フラッグはリスクが少ないことはたしかです。仮に当初予定されていた2023年に引き渡された際に相場が1割下がっていてもトントン、つまりは値上がることはなくとも値下がるリスクも少ないのです。だからこそ半年ほどで900戸近い部屋が売れるくらい人気があったわけです。もちろん先に述べた価格以外の魅力も大きいです。

東京五輪に振り回されてしまう晴海フラッグ、私としては一日も早く正式な引渡し時期が決まることを願うばかりです。