【THIS IS MY CLUB】ロアッソ熊本・黒木晃平が語る、J屈指のチャント「カモンロッソ」の幸福感

6月27日、いよいよリスタートする2020シーズンの明治安田生命Jリーグ。

J1とJ2でリーグが再開される一方、J3は3か月半遅れの開幕を迎える。

ロアッソ熊本はJ3で2年目のシーズン。昨季リーグ5位に終わった彼らにとって、J2復帰が至上命題であることに変わりはない。

Qolyは今回、Jリーグの再開・開幕を前に、「DAZN Jリーグ推進委員会」の一員としてメディア連動企画「THIS IS MY CLUB – FOR RESTART WITH LOVE - 」に参画。

リスタートに向けたJリーグクラブの、今だからこそ届けたい“生の声”をお伝えする。

今回は、ロアッソ熊本の黒木晃平。

地元・熊本出身で、2013年にサガン鳥栖から期限付き移籍で加入。2年後に完全移籍を果たし、現在は主に右サイドバックとして攻守にチームを支える30歳だ。

今年、ロアッソ熊本での8シーズン目を迎えた黒木に、開幕延期を聞いたときの心境や、新たに就任した大木武監督のサッカー、そしてロアッソ熊本を象徴するチャント「カモンロッソ」などについて聞いた。

(取材日:2020年6月18日)

今年の熊本は「超攻撃的」

――J3は開幕前に延期が決まりました。それを聞いたときは率直にどんな気持ちでしたか?

開幕をすごく楽しみにしていたんですよ。あとトレーニングマッチを1、2回やって開幕戦というタイミングで、雲行きが怪しくなってきて。実際に延期になったと聞いたときはかなりショックがありました。

ただ、状況が状況だったので仕方ないかなという思いはありましたね。

――その後も練習は行っていたんですか?

熊本は4月中旬まで練習を続けていて、再開したのはゴールデンウィーク明けあたりですかね。休んだのは3週間くらいです。

休んだ期間も毎日ジョギングはしていました。家の裏に山があったのでそこまでランニングをしたり。他の選手とボールを蹴ったりもしたかったですけどそういうわけにはいかなかったですし、あとはもうずっと犬と遊んだりしていました(笑)。

――チームメイトとはコミュニケーションを取っていました?

会わなかったときは特に取っていなかったですね。取っている選手もいたかもしれないですけど、僕は他のチームの選手と時々連絡を取った程度です。「どんな感じ?」とか「なかなか練習できないね」とか。関東のほうはやはり熊本よりも早い段階から練習ができなくなっていましたし。

――なるほど。先ほど開幕がすごく楽しみだったと仰っていた理由の一つには、やはり今年から大木武監督が就任したことがありますか?

そうですね。開幕に向けたトレーニングマッチは毎年やりますけど、今年は例年よりもかなり多くの試合をやることができました。試合を重ねるごとに発見や反省点が出てきますし、いつにも増して早く試合がしたいです。自分自身も開幕するのが楽しみです。

――大木監督のサッカーはどのようにとらえています?

すごく攻撃的です。ポジション取りを速くして、できるだけ相手陣地でサッカーをする。攻撃に人数もかけますし、得点機会をかなり多くできそうな感じはあります。

大木監督が言っている通り、見てくれる方に楽しいと思ってもらえるようなサッカーができるんじゃないかという感触は持っています。

――黒木選手自身の役割にも変化がありますか?

昨年は後方からのビルドアップに加わることが多かったんですけど、今年はもっと前でプレーする機会が増えそうですね。アップダウンが増えそうですし、ボールに絡む回数や相手陣でプレーする機会も昨年の何倍も増えそうな感じはあります。

――どんどん前に行っていい感じなんですか?

はい。できるだけ攻撃に人数をかけたいので。その分、チームメイトがボールを持っているときの素早いサポートのポジショニングなどは求められてきますし、楽しみです。

――ポジショニングは距離感?それとも角度?

距離も角度もですね。距離はできるだけ近いほうがいいですし。もちろんそうじゃないときもありますけど、結構その辺りは大木監督が細かく言っています。サポートに入るスピードもそうですし、場所とか。

細かいですけれど、求められるものを試合で表現できれば間違いなく強いと思います。

――そこは今シーズンのロアッソ熊本の大きな見所ですね。

前線から積極的にプレッシャーをかけますし、躍動感があって見ていても面白いと思います。

至福の瞬間「カモンロッソ」

――黒木選手は高校時代まで地元の熊本でプレーされていました。佐賀大学、サガン鳥栖を経てロアッソ熊本へ加入したわけですが、ご自身の中で熊本へ戻るきっかけというか理由は何だったのでしょうか?

2012年に鳥栖へ入団して(※それまでの2シーズンも特別指定選手としてプレー)、翌年の2013年に熊本へ戻ってきたんですけど、九州の大学の同期とかがJ2などで活躍している一方、僕は鳥栖でほぼ試合に出ていませんでした。だからまずは試合に出たいという思いがありました。

J2に行ったからといって必ず出られると思っていたわけではないですが、熊本の話があって、地元でしたし、絶対に活躍してやるという気持ちで戻ってきたのは覚えていますね。ここで結果を出したいという思いは強かったです。

――そこから今年で8年目です。ロアッソ熊本はどんなクラブですか?

本当に地域の方々に愛されているチームだと思います。もちろん、J2、J1と行けばクラブの状況はもっともっと良くなるでしょうけど、J3でもたくさんの方たちに応援していただけますし、環境や戦力的にもやはりJ3にいるべきチームではないと思います。

本当は昨年1年でJ2へ復帰しなければいけなかったんですけど…。ただ、今年はそれができると思っています。

――ロアッソ熊本と言うと、「カモンロッソ」というチャントが一つ象徴としてあるのかなと思います。「カモンロッソ」は選手としてどうですか?

サポーターの方も本当にあれを楽しみにしてくれていると思うんですよね。

今ではバックスタンドやメインスタンドの方も試合に勝ったときはゴール裏へ来てくれます。一体感があって、あの瞬間はすごく嬉しいです。サポーターの方も嬉しそうな顔をして飛び跳ねてくれていますし、自分たちも試合に勝って、一緒に喜び合える。

サッカー選手を辞めたらなかなかあんな幸せな時間はないんじゃないかと思います。

※ロアッソ熊本の名物チャント「カモンロッソ」。子供たちの笑顔が最高だ。下は大迫力の360°バージョン!

――「カモンロッソ」は外から見ているだけでも本当に幸せな気持ちになります。黒木選手の中でロアッソ熊本が“マイクラブ”と感じる瞬間はありますか?

僕は出身も熊本なので地元の友達が応援に来てくれますし、親も毎試合のように見に来てくれます。えがお健康スタジアムも高校生のときから使っているスタジアムなので、もうずっと自分の中ではホームグラウンドという感じですね。

高校総体や新人戦で「勝ち上がっていけばあのスタジアムでできる」という目標だった場所を、今はプロとして毎試合使わせてもらっている。本当にありがたいです。

――少し話は変わるのですが、黒木選手のTwitterを拝見したら最近投稿されていたスパイクの写真、あれプーマの『パラメヒコ』ですよね?

そうです、懐かしの『パラメヒコ』です(笑)。高校時代に履いていて一時期別のメーカーのスパイクだったんですけど、ここ3年くらいまた履いていました。『パラメヒコ』が一番足にもしっくり来ていたんですよね。

ただ、『パラメヒコ』が今年から無くなっちゃったみたいで…。今はプーマの新しいスパイクを履いています。

※その『パラメヒコ』。大事している一足とのことでピカピカだ。

――ロアッソ熊本のサプライヤーもプーマですね。

僕は大津高校のときもプーマだったんです。プーマは一番好きなメーカーなのでウェアがプーマなのは嬉しいですね。

――27日、いよいよ今季のJ3がスタートします。開幕戦の相手は鹿児島ユナイテッドFCです。

個人的には同じ九州の熊本と鹿児島で一緒にJ2に上がりたいという思いもあるんです。なので、いきなりの対戦でちょっと驚きました。

昨年鹿児島はJ2だったのでJリーグでは初対戦なんですよ。近いので今シーズンすでにトレーニングマッチも何試合かやっていますし、一緒に上がりたいですが公式戦では当然負けられません。

ただ、鹿児島と対戦するときはできれば無観客ではなく、お客さんが入った状態でやりたかったです。絶対に盛り上がる試合だと思いますし、今年J3で唯一の九州ダービーなので。

――鹿児島との開幕戦に向けて、熊本のファン・サポーターへメッセージをお願いします。

開幕の前に中断してしまったので本当に長い間試合ができていないのですが、J3が開幕して、観客も入れるようになったらぜひまたたくさんの方に見に来ていただきたいです。皆さんに楽しんでもらえるようなサッカーができると思いますし、また来たい!と思ってもらえるよう一生懸命がんばります。

またホームで、皆さんの前でサッカーをしたいという思いでいっぱいです。

――特にここを見てほしいというところは?

攻守の切り替えの速さ、そして前線からガンガン奪いに行って攻撃の手を休めないようなサッカーですね。いつもの何倍も準備する時間がありましたし、見てくれた方には「今年の熊本すごいね!」と言ってもらえると思います。

今年は連戦も多いですし、あっという間に終わってしまうと思うので、開幕から上位に居続けて、最後に皆さんと一緒に昇格を手にしたいです。

黒木 晃平
1989年7月31日生まれ(30歳)
ロアッソ熊本所属

2020 明治安田生命J3リーグ 第1節
ロアッソ熊本vs鹿児島ユナイテッドFC
6月27日(土)18:00キックオフ

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