「五山送り火」今夏は大幅に規模縮小 京都市街からは「炎の点」に、コロナ対策で

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2019年の大文字の送り火(京都市中京区から撮影)

 毎年8月16日に行われる京都のお盆の伝統行事「五山送り火」が、今年はコロナウイルス感染拡大防止のため、規模を大幅に縮小して行われることになった。送り火を伝承する五つの保存会から成る「京都五山送り火連合会」が27日、発表した。

 京都市役所で開いた記者会見で京都五山送り火連合会の長谷川英文会長は、大幅な規模縮小の理由について「市民や観光客の密集および、保存会会員の密接を回避するため」とした。一方で、古来のあり方を後世に伝えるため、規模を縮小して実施するとした。いずれの送り火も、市街地から望める例年通りの規模にはならない。

 「大文字」は、「大の字」の中心部と頂点、端の計6カ所に点火する。「鳥居形」は、例年108カ所に松明を設置するが、今年は上部2カ所だけの設置となる。「左大文字」は、「大の字」の中心1カ所の点火とする。「船形」は、頂点1カ所の点火とする。「妙」「法」は、いずれも中央部のみの点火とする。いずれも、点火の時間は未定。

 市街地からは、「炎の点」のように送り火が見える可能性があるが、京都五山送り火連合会は「御精霊(しょうらい)様を送るために点火はするが、できる限り外での見物は控えていただき、自宅で手を合わせていただければ」としている。点火する炎の大きさや、点火時刻、消火までの時間は今後決めていくという。

 新型コロナウイルス禍により、京都三大祭りの「葵祭」「祇園祭」に続き、盆の伝統行事も例年通り実施できない異例の事態となった。京都市街地を囲む山に「大文字」「妙法」「船形」「左大文字」「鳥居形」の文字や形をともす五山送り火は、お盆に迎えた先祖の霊を見送る意味があり、8月16日夜には文字や形を望める京都市内の河川敷や橋の上に毎年多くの市民が集まる。昨年は約2万8千人の人出があった(京都府警発表)。

 五山送り火は、始まった時期を特定できないが、江戸前期には京都の盆の精霊を送る代表的な行事として文献や絵図でも広く紹介された。京都市登録無形民俗文化財。 京都市によると、1943~45年に戦争によって五山とも点火を取りやめたことがある。その後、徐々に行事が復活し、1948年からは五山そろって点火しているが、五山ともそろって規模を縮小するのは、市が把握する限り初めてという。

 京都市の門川大作市長は「京都市民にとって身近で大切な伝統行事。今年は例年どおりとは違う形になりますが、本来の意義を考える機会とし、コロナ禍で亡くなられた方の鎮魂、闘病されている方のご回復を祈り、よりよい社会をつくっていく決意の機会としたい」などとコメントを発表した。

五山送り火の実施に関し会見する長谷川連合会会長(左から3人目)ら=京都市中京区・京都市役所