今季の“飛ぶボール”説は本当か? 昨季の本塁打データで比較検証

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広島・鈴木誠也と西武・山川穂高(左から)【写真:荒川祐史】

開幕9試合で今季は110本、昨季は114本と大きな差はなし

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で3か月遅れて、6月19日に開幕を迎えたプロ野球。28日に行われた6試合で開幕して最初の6連戦が終わった。パ・リーグは史上初の同一カード6連戦という変則日程の第1ラウンドをまず終えた形だ。

各球団が9試合ずつを戦い終えたここまでのプロ野球で目に付くのが本塁打数の多さだ。セ・リーグでは9試合を終えて、すでに広島・鈴木誠也が5本塁打。パ・リーグでは3戦連発の西武・山川穂高、日本ハム・中田翔、ロッテ・レアードが5本塁打を放っている。

次々に飛び出す本塁打により、巷では「飛ぶボール」説まで浮上しているほど。では、それほどまでに本塁打が激増しているのだろうか。昨季と比較、検証してみよう。

今季ここまで12球団で飛び出した本塁打数は110本。1日あたりで9.1本、1球団で1試合0.7本の本塁打が出ている。では、昨季の開幕から9試合を見るとどうか。こちらは12球団で114本塁打となっている。実は昨季より12球団での本塁打は増えていない。

では、同じ時期ではどうだろうか。例年、6月19日は交流戦の終盤のあたり。各球団の6月19日からの9試合ずつの本塁打の合計は99本塁打。ただ、これは対戦回数が少なく、投手が有利になりがちな交流戦であるという要素もありそうだ。

神宮や横浜など本塁打の出やすい球場で多く開催されている点も影響?

球団別に見ていると、増えている球団、減っている球団とまちまちだ。明らかに増えているのは広島と日本ハム、そしてオリックス。広島は昨季の開幕9試合で11本、同時期の9試合で7本塁打だったが、今季は15本塁打。日本ハムは絶好調の中田の働きもあり、昨季は開幕9試合5本塁打、同時期7本塁打だったが、10本塁打になっている。同様にオリックスも2本、4本から6本に増えている。

DeNAや西武、巨人には大きな増減はなく、ソフトバンクやロッテ、中日などは開幕時の9試合ベースでは昨季よりも本塁打は少なくなっている。実際のところは極端に本塁打が増えているということはないようだ。

また、変則的な日程により、試合が行われている球場が偏っていることも本塁打数が増えた印象が生まれている要員かもしれない。今季は開幕から神宮球場、横浜スタジアム、メットライフドームで9試合が行われ、東京ドーム、楽天生命パーク、ZOZOマリンスタジアムで6試合が行われている。

このうち東京ドーム、神宮球場、横浜スタジアム、メットライフドームはパークファクターを見ても、ホームランの出やすい球場とされる。一方で、本塁打の出にくいとされるナゴヤドーム、京セラドームはまだ3試合、札幌ドームや甲子園では1試合も行われていない。

こうした現時点での球場の偏りも考えると、本塁打がそれほど増えたとは言えないのではないだろうか。確かにちょっと異質な飛び方をしたり、飛距離に長けた本塁打も多いが、それは打った選手の力、成長であるとも取ることができるのではないだろうか。(Full-Count編集部)