紀州特産のなれ寿司 老舗・八ッ房が閉店・約50年の歴史に幕

和歌山県御坊市(ごぼうし)でおよそ50年にわたってサバのなれ寿司を製造・販売してきた八ッ房(やつふさ)が、このほど営業を停止したことがわかりました。

八ッ房は、地元産のサバを酢飯に乗せてアセの葉で巻いた紀州特産の押し寿司・なれ寿司を中心に、およそ50年にわたって郷土の味を守り続けてきた老舗で、なれ寿司は県が推奨する産品「プレミア和歌山」にも選ばれています。

八ッ房では、近年、77歳と高齢の店主が体力の限界を感じ、後継者がいないことから、先月(5月)末で営業を休止したということです。

八ッ房の津村記代(つむら・のりよ)さんは「およそ50年にわたり営業を続けられたのはお客様のお陰です。閉店にあたっては多くの人から『やめないで欲しい』と惜しむ声があり、断腸の思いでした」と話し、なれ寿司の伝統が途絶えることへの悔しさを口にしました。

その一方で津村さんは「洋食志向の若い人の口には合わなくなったのかも知れませんが、和歌山を離れた出身者がなれ寿司を口にすると、ふるさとを思い出すソウルフードでもあります。いったん店は閉めますが、ベストな形で再出発出来ないか模索しています」と話し、再開への意欲を新たにしました。

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