地上からは見えない眺め。宇宙飛行士たちが目にしてきた富士山の姿

国際宇宙ステーションの第46次長期滞在クルーによって撮影された富士山(2016年2月8日撮影)(Credit: NASA)

宇宙飛行士が長期滞在するようになってから今年で20周年を迎える国際宇宙ステーション(ISS)。高度およそ400kmを周回するISSからは、滞在した宇宙飛行士たちによって地上の写真が数多く撮影されてきました。

6月9日、第63次長期滞在クルーとしてISSに滞在しているロシアのイヴァン・ヴァグナー宇宙飛行士は、真上から見下ろすように撮影された富士山の写真をTwitterに投稿しました。これまで宇宙飛行士によって撮影された写真のなかには、日本の象徴ともいえる富士山を写したものが幾つかあります。

▼イヴァン・ヴァグナー宇宙飛行士のツイート▼

The bright symbol of Japan in the rising sun.

Who got me? Yes, that’s right – this is the active stratovolcano #Fujiyama 3776 meters high located on the Japanese island of Honshu 90 km away south westwards from Tokyo.

Fujiyama is the pride and symbol of #Japan! pic.twitter.com/VuczuYjfVb

— Ivan Vagner (@ivan_mks63) June 9, 2020

2015年11月3日、当時第45次長期滞在クルーとしてISSに滞在していた宇宙航空研究開発機構(JAXA)の油井亀美也宇宙飛行士によって富士山が撮影されています。朝日に照らされた富士山を捉えた写真には、頂上を目指すつづら折りの登山道もはっきりと見えています。油井宇宙飛行士の撮影からおよそ3か月後の2016年2月8日には、さらに雪深くなった富士山(冒頭の写真)がISSの第46次長期滞在クルーによって撮影されています。

ISSに滞在中の油井亀美也宇宙飛行士が撮影した富士山(2015年11月3日撮影)(Credit: JAXA/NASA)

富士山を撮影したのはISS滞在中の宇宙飛行士だけではありません。2003年1月26日には、ISSよりも低い高度およそ260kmを飛行していたスペースシャトル「コロンビア」の宇宙飛行士によって、東から見下ろす角度で富士山が撮影されています。また、古いものでは1969年3月に「アポロ9号」の宇宙飛行士によって撮影された写真にも、富士山が小さく写っているものがあります。

スペースシャトル「コロンビア」から撮影された富士山(2003年1月26日撮影)(Credit: NASA)

宇宙からその目で地球を眺めることができるのは、今のところ宇宙飛行士と数少ない宇宙旅行者のみ。将来、宇宙飛行の費用やリスクが下がって宇宙に旅行しやすくなれば、より多くの人々が宇宙からの景色を楽しめるようになるかもしれません。

Image Credit: NASA
Source: Gateway to Astronaut Photography of Earth
文/松村武宏

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