熊本空港アクセス鉄道で県収支見通し 「早期の黒字」ハードル高く

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熊本空港までの鉄道延伸が計画されているJR三里木駅=菊陽町

 県は6月県議会で、熊本空港アクセス鉄道計画の収支見通しを初めて公表した。「早期の黒字化が可能」とした試算は、国と県が総事業費の3分の1ずつを事業主体の第三セクターに補助するという、現行制度「空港アクセス鉄道等整備支援事業」にない枠組み。蒲島郁夫知事は政権与党とのパイプに活路を求めるが、実現には高いハードルが待ち受ける。

 知事選直後の3月下旬。アクセス鉄道計画の推進を公約に掲げて4選を果たした蒲島知事は、自民党県連の前川收会長と共に東京・永田町の党本部を訪ねた。応対したのは二階俊博幹事長。蒲島知事は「国の強力なバックアップが必要」と“1強自民”による後押しに期待を寄せた。

 その後、県は政府予算の概算要求に向けて国土交通省に提出した政策要望で、アクセス鉄道計画に関し、初めて総事業費の「3分の1支援」を求める内容を明記。「特別の配慮を」とアピールした。

 鉄道の新規事業化の目安は「開業40年以内の累積収支の黒字化」。県は今回、整備距離が最も短いルート案(総事業費504億円)で試算し、国と県、JR九州が総事業費を実質的に3等分すれば、開業2年目から単年度、累積収支とも黒字化できるとした。

 JR拠出金は開業後にしか入ってこないが、県交通政策課は「三セクの初期借入金が約87億円で済み、金利負担を含めて経営面での効果は大きい」とみる。

 現行制度は国と県が18%ずつ補助する枠組みだが、過去に一度だけ特例が適用されたことがある。2010年開業の成田新高速鉄道(東京都心-成田空港)だ。同鉄道の支援を目的に、国土交通相が認めれば補助率を「3分の1」に引き上げる規定が追加された。

 国交省鉄道局は「国家事業の『成田新幹線』が中止となり、代替的に計画された点などから当時の大臣が認めた」と説明する。

 ただ、補助対象の範囲には制約があり、総事業費に占める実質的な国の補助は2割程度にとどまった。千葉県によると、同鉄道の総事業費約1043億円のうち、沿線のニュータウンを所有する同県企業庁と成田国際空港の負担金計約256億円などが補助対象から外れた。

 「成田超え」となる今回の熊本県の要望について、県議会の一部からは「成田はいわば『国策』事業。それを上回るのは容易ではない」と懐疑的な見方もある。

 一方、県の収支見通しでは、現行制度をそのまま活用したケースも検討された。三セクの初期借入金は約330億円に上り、運賃収入とJRの拠出金だけでは開業40年後の累積赤字を解消できなかった。(野方信助、内田裕之)