エボラ出血熱、コンゴ北東部で終息宣言 史上2番目の大規模な流行で2287人が死亡

防護具を身に着けてエボラ対応の活動にあたるスタッフ(イトゥリ州ブニア)=2019年 © Pablo Garrigos/MSF

防護具を身に着けてエボラ対応の活動にあたるスタッフ(イトゥリ州ブニア)=2019年 © Pablo Garrigos/MSF

2020年6月25日、コンゴ民主共和国(以下、コンゴ)政府は、同国北東部で約2年にわたり続いたエボラ出血熱の流行が終息したと宣言した。2018年8月の流行開始以来、2287人の命が失われた。

北東部では終息が確認されたものの、北西部では新たな流行が開始。引き続きの警戒が必要だ。国境なき医師団(MSF)は感染予防や治療の取り組みを進めている。 

コンゴでは過去最大規模の流行に

このエボラ流行はコンゴにおける10回目の流行として、同国政府により2018年8月1日に発表された。感染は北東部のイトゥリ州、北キブ州、南キブ州に広がり、隣国のウガンダでも症例が報告されている。

約2年の間に患者数は3000人を超え、コンゴにおけるエボラ出血熱の発生件数としては過去最大となった。また世界全体で見ても、2014年から2016年に西アフリカで発生したエボラ流行に次ぐ史上2番目の規模となった。

今回の流行では、2019年3月までの最初の8カ月で1000人以上の感染者が確認された後、感染者数が急増。同年4月から6月の3カ月だけで、さらに1000人の感染が報告された。今年に入ってからは、新たな感染者数は徐々に減少していった。

そして5月14日、最後のエボラ患者が北キブ州ベニのエボラ治療センターを退院。その後、21日間の潜伏期間の2倍に相当する42日間、新たな患者の記録がなかったことから、コンゴの保健大臣は6月25日、北東部での流行終息を宣言した。 

エボラ感染疑いのある患者を治療施設の個室に誘導するスタッフ(イトゥリ州ブニア)=2018年 © John Wessels

エボラ感染疑いのある患者を治療施設の個室に誘導するスタッフ(イトゥリ州ブニア)=2018年 © John Wessels

北西部では新たな流行が始まった

北東部で終息が宣言された一方で、北西部の赤道州では6月1日、エボラの新たな感染者が確認された。これにより6月11日、コンゴにおける11回目のエボラ流行宣言が発表された。

MSFは、赤道州にあるビコロとボロンバ保健区域で、病院内にある隔離施設の改善を支援し、今回の流行に対応している。また、医療チームと健康教育チームを現地に派遣するとともに、州都ムバンダカ市で保健省と連携して活動している。

MSFは、大規模な予防接種の計画を策定するとともに、治療薬を確保するなど、流行への対策に取り組んでいく。住民が医療を受けやすくすることで、彼らの信頼を得ることも重要だ。

これ以上エボラで失われる命がないように——。これまでの経験を活かし、迅速な対応が進められている。 

エボラ治療センターで防護具を身に着けるスタッフ(イトゥリ州ブニア)=2018年 © John Wessels

エボラ治療センターで防護具を身に着けるスタッフ(イトゥリ州ブニア)=2018年 © John Wessels

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