社会人2年生「投資デビューしたい!何から始めれば?」FPが教える投資の始め方

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、26歳、社会人生活2年目の女性。生活に少し余裕も出てきて、投資を始めてみたいといいますが…。FPの伊藤亮太氏がお答えします。

社会人生活を初めてから1年経ち、毎月の収支が落ち着いてきました。毎月少し余裕があるので投資を始めようかと考えていますが、株などの知識がなく何から手をつけたらいいのか分かりません。そもそも今の状況で投資を始めていいのか、どのように始めるべきか、ご教示頂けますと幸いです。

<相談者プロフィール>

女性、26歳、未婚

職業:会社員

住居の形態:賃貸(一人暮らし)

毎月の世帯の手取り金額:52万円

年間の世帯の手取りボーナス額:なし

毎月の世帯の支出の目安:40万円

【支出の内訳】

住居費:9.5万円

食費:5万円

水道光熱費:0.7万円

教育費:なし

保険料:6万円(積立型)

通信費:1.2万円

お小遣い:2.5万円

その他:衣服/美容5万円、交通費3万円、交際費4万円

【資産状況】

毎月の貯蓄額:約10万


伊藤: ファイナンシャルプランナーの伊藤亮太です。回答させていただきます。

20代半ばでこれだけの収入がある方はなかなかいないと思います。逆に言えば、これだけの収入があり、余裕があるからこそ今のうちに運用の手立てを整えておくと、時間を味方につけた様々な運用の仕方が実践できると思います。

FPが相談者にオススメしたい投資の基礎がわかる本

特段収支等も問題ありませんので、投資を始めてよいと思います。なお、時間がおありでしたら、投資を始めつつ、以下の本をお読みになってみてはいかがでしょうか。

ピーター・リンチ、ジョン・ロスチャイルド著/三原淳雄、土屋安衛訳『ピーター・リンチの株で勝つ―アマの知恵でプロを出し抜け』(ダイヤモンド社)

この本は、個別の株式投資だけにとどまらず、長期投資に対する考え方や企業業績に対する見方なども学べますので、コツコツ長期的に運用を行いたい方にとっては一読の価値があると思います。是非若い今のうちに、こうしたプロの運用の仕方も学んでください。なお、短期売買等には向かない本です。相談者の場合、おそらく仕事も忙しく、短期売買よりは中長期投資の方が向いていると思いますので、是非お読みいただけると、投資に対する見方、考え方も変わると思います。

はじめての投資 何から手をつければ?

さて、読書とは別に、どのように始めればよいか解説します。まずは、現在の毎月の貯蓄額約10万円のうち、半分の5万円程度を投資資金としてみてはいかがでしょう。保険料の積立てが一般的な個人年金なのか、変額年金なのかにもよりますが、ここでは通常の個人年金として考えると、積極的な運用はまだしていないのではないかと思います。

そこで、5万円のうち、2万円を世界株式型の投信、残り3万円のうち2万円を世界債券型の投信、1万円を金の積立てで運用されてはいかがでしょうか。世界株式型と世界債券型は、コスト面も意識しつつ、毎月積立て型でコツコツ運用を行っていきます。ピーター・リンチの本を読み、インデックス型のものを選んで運用されるとよいと思います。金は、既に過去の最高値を超える水準となってきているものの、コロナによる影響もあり、世界的な金融緩和の状況を考慮するとまだ投資妙味があると考えます。金は利息を生みませんので、値上がり益のみの収益となりますが、今後も10年単位で見た場合に、世界情勢が不確定となりさらに激震が走るようなことも十分考えられますので、お守りとして運用対象に入れておいてはいかがかなと思います。

非課税制度も活用していこう

この他に考えたい視点として、積立NISAやiDeCoをうまく利用すること。例えば、つみたてNISAで年間40万円となるような投資配分を行い、それ以外の部分をiDeCo(個人型確定拠出年金)で投資するといったケースが考えられます。金の積立てはそれらとは別に投資を行います。こうすることで、節税面からも有利な運用が可能です。

つみたてNISAはうまく利用すれば年間40万円の運用を継続して20年間の非課税の恩恵を受けることが可能ですし、iDeCoも老後資金対策として長期的な節税メリットが享受できます。しかもiDeCoの場合には、掛金が全額所得控除の対象となるため、高年収である相談者の場合、メリットが大きいと考えます。できれば控除がうまく利用できるように、年間上限額での運用を心がけるとよいでしょう。その場合には、投資配分の比率を一定保つように、つみたてNISA、iDeCoいずれも世界株式型、世界債券型を半々で運用するなど心がけてください。運用額は5万円と決めなくてもかまいません。ご自身にとってもっともよいと感じる金額で毎月運用されればよいです。

こうした非課税制度をうまく利用し、時間を味方につけた運用をまずは検討ください。その後、さらに資金に余裕がでてくるのであえば、個別の株式投資や不動産など幅を広げていけばよいと思います。

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