逃げ出したい時、自宅に来て連れ戻してくれた友 コーチとして恩返し #夏は終わらせない県高校野球(4)

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最後の夏に向けて意気込む宜野湾の山城悠力(左上)ら3年生=宜野湾高校(我喜屋あかね撮影)

 何度も逃げ出しそうになった時、グラウンドに連れ戻してくれた友がいた。宜野湾学生コーチの山城悠力は、一緒に過ごした同級生の存在があったから野球を続けてこられた。「ずっと大人になっても関わっていく」仲間への感謝を胸に、最後の夏に臨む。

 昨秋大会で8強入りした宜野湾には、2人の女子マネジャーを除いて3年生は9人しかいない。今年1月、内野手の山城は毎日のきつい練習に耐え切れず、「精神的についていけなくなった」と心が折れかけた。

 仲間と同じ練習量でも「へとへとで体力が回復できなくなった」という。早朝練習は午前5時過ぎに起床しなければならないが、何度目覚まし時計が鳴っても起きられなかった。練習もサボりがちになり、池宮城朗監督に「辞めます」と告げた。

 だが「このまま大人になっても、ちゃんとした人間になれないぞ」との言葉に思いとどまる。そして何より、「みんなが止めてくれて、何とか踏みとどまれた」と語る。

 夜、山城の元に「あした、頑張って来いよ」とLINEが届いた。朝になると、多い時には何十件も着信が。浦添市の自宅には、中城村に住む宮里陽政が迎えに来た。学校からみんなが来たこともある。「最後は、今の3年生9人で終わりたかった」(松門龍輝主将)からだ。

 山城は「迎えにきてくれて本当にびっくりして。ここまでやってくれると思わなかった」。思いに応えようと、学生コーチとしてチームを支えると決めた。新型コロナウイルスによる臨時休校期間は、一度も自主練習を休まなかった。

 池宮城監督はナインを見つめ、「コロナのおかげって言ったら変だけど、チームがまとまってきたよね」と目を細める。「みんなが優しくて、支えてくれたから今も続けられてます」と山城。夏は全力でチームをサポートするつもりだ。(我喜屋あかね)