マグネシウム合金の強靱化成功 熊本大研究センター、航空機実用化へ前進

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強靱化に成功した「KUMADAI急冷耐熱マグネシウム合金」の強度と破壊靭性値を示すグラフ。従来品より破壊靱性値が上がり、両指標とも航空機用のアルミニウム合金を上回る(河村能人センター長提供)
河村能人氏

 熊本大先進マグネシウム国際研究センターは30日、航空機での実用化を目指す「KUMADAI急冷耐熱マグネシウム合金」の亀裂の進行に対する抵抗力を1・5倍に高めることに成功したと発表した。

 従来の強度と合わせて、既存の航空機用アルミニウム合金を上回る強靱[きょうじん]性を獲得し、実用化へ大きく前進したとしている。

 河村能人[よしひと]センター長(59)によると、「急冷耐熱マグネシウム合金」は、マグネシウムに亜鉛とイットリウムを加えて高温で溶かした後、急速に冷やして製造する。アルミニウム合金と比べて軽さと強度を示す「比降伏強さ」は5割以上高かったが、亀裂への抵抗力を示す「破壊靱性値」は航空機に使用できる基準の下限値に満たず、強靱性の向上が課題だった。

 研究の結果、粉末状の合金に圧力をかけて固めた後に熱処理を加えると、破壊靱性値が高まることが判明。加熱による合金内の組織の変化に伴って硬い部分と軟らかい部分が不均一となり、亀裂の進行を止めるという。

 成分の配合比を変えたことで、約15%の軽量化にも成功した。

 センターは今後、米ボーイング社など国内外の航空機メーカーと共同で部品の試作と評価を進める。河村センター長は「今回のマグネシウムが示す強度は“世界チャンピオン級”のデータ。量産技術の開発も進め、実用化を推進する」と話している。(平澤碧惟)